朝鮮分断に対する日本責任論は、日本国民に贖罪史観を擦り込むありがちな論証です。
実際、20世紀初頭に清やロシアに脅かされていた朝鮮は、日露戦争の結果として日本に併合されたため、分断を回避することができました。第二次大戦後、ソ連の朝鮮半島北部の占領により北朝鮮が建国され、朝鮮戦争では中国が参戦して北朝鮮を支援しました。分断・戦争の原因を作ったわけではない日本に責任を課すのは論理的に間違っています。
また、岸田政権は拉致問題を絡めて北朝鮮との対話実現を目指すことを既に宣言していますが、青木氏と関口氏は、この事実をないことにして批判する【ストローマン論証】を展開しています。青木氏は、当該コメントにおいて、日本の責任を主張し、日本を「一応大国」と認めていますが、これは日本批判のための明確な伏線だったのです。
以上、「日本政府は軍事に加担するだけで外交をしない」という『サンデーモーニング』が創作したステレオタイプの印象を視聴者にしっかりと認識させた上で日本政府を批判するという演出が見え見えです。
何もしていないわけがないのに……
ちなみに、台湾有事の話題において藪中氏は次のようにコメントしています。
藪中三十二氏:政府がやらなければいけないことは、台湾有事なんて起こしちゃいけないということだ。そのためにどうするのか。せっかくG7サミットで「中国に関与し、建設的な関係を築く」と書いた。あれは日本が書いた。その後に何もしていない。米国は中国と意外と話をしている。日本こそもっときちんと中国と向き合って絶対に台湾有事なんか起こさないと。
最近、林外務大臣は中国の外交トップの王毅政治局委員と会談しています。この事実を無視して「何もしていない」と日本政府を叱責し、「知恵」「アイデア」を出すことなしにひたすら上から目線で「台湾有事を起こしてはならない」と日本政府に命令する藪中氏です。
何よりも大きな勘違いは、このような万人が認識している至上命令を日本政府が認識していないと思っていることと、中国と向き合えば、相手を絶対に説得できると信じていることです。勿論、中共が他国の説得に応じる存在でないことは自明です。