もっとも声明には「私たちは、最大の教訓にすべきは、党の自力の問題にあると考えています」との反省の弁に見える言葉もある。だがこれも志位指導部が反省しているのではない。〝党に自力がないから選挙に負けた。だから党員たちはもっと党勢拡大をがんばって自力をつけるようにしろ〟という末端の党員に向けたメッセージになっている。
志位指導部は党員たちにどんな党勢拡大を要求しているのか。
党員、赤旗(日刊紙・日曜版) 読者を4年前よりも130%増加させるという目標だ。しかもこの目標を来年1月に予定されている第29回 党大会までに達成させるという。
しかしこの「130%の党づくり」はまったく成功していない。今回の声明でも現状は「4年前に比較して91%の党員、87%の日刊紙読者、85%の日曜版読者」であることを認めざるを得ない。ここからどうやってわずか半年余りで130%を実現できるのか? 声明はその具体的な方策を示すことはできない。ただ「統一地方選挙の結果は、「130%の党づくり」の緊急で死活的な重要性を、明らかにするものとなりました」とか、「選挙の後退の悔しさは、党勢拡大で晴らそうではありませんか」などというから文句を叫ぶだけなのだ。
そもそも「130%の党」づくりなどというのは土台無理な話だ。人口減少の時代において、共産党のみならず、どんな組織も人集めに苦労している。工場や商店では労働力が不足して外国人労働者に頼らざるを得ない。大学は新入生が集まらず定員割れが常態化している。新聞や雑誌も購読者が減り、部数減や廃刊を余儀なくされている。そんな時代に共産党だけ、党員や赤旗読者が増えるという〝魔法〟があるわけがない。そんなことくらい、〝科学的〟社会主義の党ならわかりそうなものだ。
驚愕の「赤旗投書欄」
できないとわかっていながら、党の方針を信じて突き進むしかないのが今の共産党の実態だ。
選挙結果を伝える4月24日のしんぶん赤旗の投書欄を見て、私は驚いた。投書の主は埼玉県在住の76歳の男性党員である。見出しは「大学の入学式 民青お手伝い」。
冒頭部分を引用すると「民青同盟への加入を訴える宣伝を地元大学の入学式に行いました。スーツ姿の新入生に100枚を超えるパンフを配布し、対話も積極的に。『入学時にはどれほどのお金を?』『政治に望むことは?』などなど」。
投書の結びは「民青が社会進歩のために活動する若者の集団であることを伝え、信念をもって大学生活を送れるよう励ましました」とある。
民青(日本民主青年同盟)は、日本共産党を相談相手とする青年組織とされる。実態は共産党の下部組織だ。若年者を党員にする前に民青に加盟させ、党の綱領・規約を学ばせるのである。
その民青の同盟員拡大に76歳の後期高齢者が参加しているのが、今の党の実情だということだろう。だが、そんなことをすればするほど、若者たちは民青や共産党から遠ざかっていくだけだ。そうした現実さえ、高齢党員たちには見えないのだ。
赤旗は廃刊、党名変更のすすめ
共産党が人口減少社会、超高齢化社会の中で生き残ろうとするなら、そうした社会の現実に即した活動に改めていく必要があるだろう。
高齢化によって活動の担い手が不足している問題には、活動量そのものを減らす必要がある。そのためにはしんぶん赤旗の宅配をやめることだ。それが嫌なら廃刊するしかない。
また、ビラ配り、ポスター張りなどを党員の無償ボランティアだけに頼るのではなく、有償で業者に委託することも考えるべきだ。資金が必要になるが、政党助成金を受け取るようにすればいい。
そして何と言っても、若い人たちに注目してもらえるように党名を変更すべきだろう。百年使い古された「共産党」の名を捨てることが絶対に必要だ。
こうした改革は、選挙で選ばれた党首でしか実行できないかもしれない。いずれにせよ、自己改革を拒否する党には未来はないことを、志位委員長は肝に銘じるべきだ。