共産党は中国や北朝鮮による軍事的脅威について、「憲法9条の精神による話し合いで解決を」と主張し、防衛力の強化に反対する政策を掲げている。しかも、「大軍拡反対」を地方選挙の争点にまでしようとした。
国政と地方政治は関係ないとは言えないにしても、地方選挙で、地方議員候補が国政上の問題である「防衛力」の是非に力を入れれば入れるほど、肝心の地方に関する政策はおろそかになる。「軍事費削って、教育にまわせ」というのは共産党のおなじみのスローガンだが、住民からすれば、「軍事ばかり語らないで、もっと地元地域のことを考えてほしい」という本音だろう。
しかも「外交が大事だ」「話し合いで解決しろ」と言っている共産党が、異論を唱える党員と話し合いもせずに除名にしてしまった。また、もともと、中国共産党や朝鮮労働党とは、〝兄弟党〟を自称するような友好的な関係にあったが、日本共産党は現在、両党との関係を断ち、「話し合い」を放棄している。自分たちがしようとしない「話し合い」を一方的に政府に要求している共産党の身勝手さを有権者たちはちゃんと見ているのではないか。
とんでもないホラ吹き
こうした分析を拒否したままだから、素直に負けを認めることもできない。
声明は「わが党が獲得した得票率は、4年前の比較では後退しましたが、22年の参議院選挙の比例代表の得票率との比較で前進していることは重要です」と述べ、「22年の参議院選挙の比例得票率と今回の選挙で得た得票率を比較すると、道府県議選では7・2%から12・0%へ、政令市議選では7・5%から10・7%へ、区市町村議選では7・2%から8・1%へ、それぞれ伸ばすことができました」などと〝成果〟を強調している。
しかし、地方選挙の結果を国政選挙の結果で測るのは無理がありすぎるだろう。候補者の数と組み合わせ、有権者の意識……、どれをとっても国政選挙と地方選挙は違うのだ。政党支持の度合いを見る指標としても、両者を比較するのは不適切だ。政党名を書いて投票することもできる参院の比例選挙では有権者は政党への意識も大きいが、地方選では政党よりも候補者個人が強く意識される。地方選で共産党候補への得票率が参院比例票よりも増えたということは、逆から言えば、政党を意識する比例選挙になれば、共産党は得票を減らすことになるということでもある。
そうした数字のカラクリを隠したまま、声明は党員たちに向けて「今後の前進・躍進にむけた足掛かりとなるものです」などと強弁するのだから、とんでもないホラ吹きだ。