これほど広範囲の「革命運動」が勃発した背景には、まず習近平政権の強引なゼロコロナ政策に対する国民的反発の広がりがある。
過去3年間にわたって、極端にして乱暴なゼロコロナ政策が強行された結果、経済が疲弊し、国民の多くは基本的自由を奪われて生活の基盤も失った。物理的封じ込めを基本とするこの異常な政策に対する国民全体の忍耐は、限界を超えている。
実際、運動勃発の10日ほど前に、広東省広州市珠海区内の封鎖区域で、住民たちがバリケードを壊して封鎖を突破し、警察部隊と衝突する事件も起きた。一連の抗議運動において、「封鎖解除」を求めることは終始一貫、群衆の基本的要求の一つとなっている。
二つ目の背景は経済問題だろう。ゼロコロナ政策も一因となって、中国経済はいまや沈没の危機に瀕している。商店主や中小企業を中心に倒産ラッシュが起き、2022年上半期だけでも、倒産件数は46万件に上った(同じ時期における日本の企業倒産件数は3000件余)。
若者を中心に失業者も拡大し、給与削減による収入減、不動産市場の崩壊による中産階級の破産も常態化している。各階層で経済沈没に苦しむ人々が日々増えている深刻な状況である。
背景にある「習近平問題」
加えて、「習近平問題」が「革命運動」勃発の三つ目の背景としてある。
いままでの多くの失策・愚策で国民からの信頼を失った習近平主席は2022年の党大会で、鄧小平時代以来のルールを破って自らの続投を強行する一方、開明派・改革派とされる李克強首相らを党指導部から一掃した。そして、胡錦濤氏を党大会壇上から強制的に退場させる横暴な振る舞いを堂々と演じて見せる一方、無徳・無能の側近たちを抜擢して党の最高指導部を固めた。
この一連の政治的蛮行の結果、習近平という横暴にして愚かな指導者と共産党指導部体制に対し、多くの国民は嫌悪感を持ち、習政権下の中国の未来に深い絶望感を抱くようになった。習近平という指導者の存在そのものが、反乱の発生を誘発する最大の政治的要因となっている。
もはや中国国民はいつ爆発してもおかしくなかった。