【読書亡羊】「笑顔が多い政治家はこの人!」「『日曜討論』はガチ」木下健、オフェル・フェルドマン『政治家のレトリック』(勁草書房)

【読書亡羊】「笑顔が多い政治家はこの人!」「『日曜討論』はガチ」木下健、オフェル・フェルドマン『政治家のレトリック』(勁草書房)

その昔、読書にかまけて羊を逃がしたものがいるという。転じて「読書亡羊」は「重要なことを忘れて、他のことに夢中になること」を指す四字熟語になった。だが時に仕事を放り出してでも、読むべき本がある。元月刊『Hanada』編集部員のライター・梶原がお送りする週末書評!


 インタビュアーと一対一ではなく、司会者だけでなく同席した専門家や政治家からの質問も飛んでくる可能性のある「日曜討論」こそ、最も政治家の「地力」をうかがえる番組かもしれない。

「ターミネーター」と握手をしたら……

章の合間に掲載されている「コラム」も見逃せない。特に、選挙運動についてのコラムは、参院選をまもなく迎える日本の有権者はもちろん、政治家も参考にした方がいい内容だ。

特に面白いのは「死んだ魚の握手」と題する「コラム2」。政治家が有権者と交わす握手の種類を6つのタイプに分析。

だらっとした生気のない手を出される「死んだ魚のような握手」だと、相手は否定的なイメージを持たざるを得ないが、かといって「ポンプ型」と言われる握った手をブンブンと上げ下げするような力強い握手も、これはこれで相手に不安を与えるという。

筆者がこれまで政治家と交わした握手で印象的だったのは立憲民主党の馬淵澄夫議員だった。

「ターミネーター」と言われるほど体を鍛えていることで有名なだけあって、瞬間的に「グッ」とつかむその腕力の強さは他の追随を許さず、今も「馬淵議員の握手は他とは違った」という感覚が残っているほどだ。これはこのコラムの分類によると「適切な握手」に入る。

適切な握手タイプとは…会いたいと思う人のところに歩みより、しっかりと目と目を合わせ、手を伸ばす。そして熱意を込めて、硬く、手と手を合わせて握手をする。

適切な握手は信じられないほど好意的な印象を与える。知識が豊かで、社交性に優れ、リーダーシップの能力があると思われる。優れた握手は人間の魅力と自信を示す、不可欠なコミュニケーションである。

関連する投稿


【読書亡羊】『土偶を読む』騒動を知っていますか 縄文ZINE編『土偶を読むを読む』(文学通信)

【読書亡羊】『土偶を読む』騒動を知っていますか 縄文ZINE編『土偶を読むを読む』(文学通信)

その昔、読書にかまけて羊を逃がしたものがいるという。転じて「読書亡羊」は「重要なことを忘れて、他のことに夢中になること」を指す四字熟語になった。だが時に仕事を放り出してでも、読むべき本がある。元月刊『Hanada』編集部員のライター・梶原がお送りする週末書評!


【読書亡羊】必読、対中国「政治戦」の教科書を見逃すな!  ケリー・K・ガーシャネック著、鬼塚隆志監修、壁村正照訳『中国の政治戦 -「戦わずして勝とう」とする国への対抗戦略』(五月書房新社)

【読書亡羊】必読、対中国「政治戦」の教科書を見逃すな! ケリー・K・ガーシャネック著、鬼塚隆志監修、壁村正照訳『中国の政治戦 -「戦わずして勝とう」とする国への対抗戦略』(五月書房新社)

その昔、読書にかまけて羊を逃がしたものがいるという。転じて「読書亡羊」は「重要なことを忘れて、他のことに夢中になること」を指す四字熟語になった。だが時に仕事を放り出してでも、読むべき本がある。元月刊『Hanada』編集部員のライター・梶原がお送りする週末書評!


【読書亡羊】「日中友好人士がスパイ容疑で逮捕・拘束」話題の本に残る二つの謎  鈴木英司『中国拘束2279日』(毎日新聞出版)

【読書亡羊】「日中友好人士がスパイ容疑で逮捕・拘束」話題の本に残る二つの謎 鈴木英司『中国拘束2279日』(毎日新聞出版)

その昔、読書にかまけて羊を逃がしたものがいるという。転じて「読書亡羊」は「重要なことを忘れて、他のことに夢中になること」を指す四字熟語になった。だが時に仕事を放り出してでも、読むべき本がある。元月刊『Hanada』編集部員のライター・梶原がお送りする週末書評!


【読書亡羊】「Jアラート」に怒っている場合ではない! 北朝鮮の核・ミサイル開発の実態とは 井上智太郎『金正恩の核兵器――北朝鮮のミサイル戦略と日本』(ちくま新書)

【読書亡羊】「Jアラート」に怒っている場合ではない! 北朝鮮の核・ミサイル開発の実態とは 井上智太郎『金正恩の核兵器――北朝鮮のミサイル戦略と日本』(ちくま新書)

その昔、読書にかまけて羊を逃がしたものがいるという。転じて「読書亡羊」は「重要なことを忘れて、他のことに夢中になること」を指す四字熟語になった。だが時に仕事を放り出してでも、読むべき本がある。元月刊『Hanada』編集部員のライター・梶原がお送りする週末書評!


【読書亡羊】「東京港は世界で46位」、コンテナ輸送の真実が見える 松田琢磨『コンテナから読む世界経済』

【読書亡羊】「東京港は世界で46位」、コンテナ輸送の真実が見える 松田琢磨『コンテナから読む世界経済』

その昔、読書にかまけて羊を逃がしたものがいるという。転じて「読書亡羊」は「重要なことを忘れて、他のことに夢中になること」を指す四字熟語になった。だが時に仕事を放り出してでも、読むべき本がある。元月刊『Hanada』編集部員のライター・梶原がお送りする週末書評!


最新の投稿


【読書亡羊】『土偶を読む』騒動を知っていますか 縄文ZINE編『土偶を読むを読む』(文学通信)

【読書亡羊】『土偶を読む』騒動を知っていますか 縄文ZINE編『土偶を読むを読む』(文学通信)

その昔、読書にかまけて羊を逃がしたものがいるという。転じて「読書亡羊」は「重要なことを忘れて、他のことに夢中になること」を指す四字熟語になった。だが時に仕事を放り出してでも、読むべき本がある。元月刊『Hanada』編集部員のライター・梶原がお送りする週末書評!


【埼玉県川口市 クルドの現場を行く②】地元住民の苦悩|西牟田靖

【埼玉県川口市 クルドの現場を行く②】地元住民の苦悩|西牟田靖

入管法改正案についての報道が相次いでいる。そのトーンは反対一色。難民を認定しない日本政府や入管は悪、翻弄される外国人は善――という非常に単純化された報道ばかり。その一方、不良外国人の迷惑・犯罪行為に困る地元住民の声はほぼ封殺されたままだ。


原子力規制委の抜本的改革が必須|奈良林直

原子力規制委の抜本的改革が必須|奈良林直

柏崎刈羽原発で東電の社長を厳しく追及し、社員のやる気をなくさせているのが現在の原子力規制委の山中伸介委員長。電力事業者の取り組みがうまくいかないのは、規制委の采配が下手だからだ。我が国でも米国のように、規制委の抜本的改革が必要である。


広島サミット成功と浮かれていいのか|田久保忠衛

広島サミット成功と浮かれていいのか|田久保忠衛

お祭り騒ぎや日本式のおもてなしではどうにも片付かない冷厳な現実が待ち受けている。己を知らない国に救いはない。


動くか拉致問題、北が協議提案に即反応|西岡力

動くか拉致問題、北が協議提案に即反応|西岡力

水面下での秘密協議がすでに始まっているか、近く始まる可能性が高い。ただし、そこで、合同調査委員会設置案など「全拉致被害者の即時一括帰国」ではないごまかしの提案が出てくる危険性がある。推移を注意深く見守るべき時だ。