“オール沖縄”の敗北と“佐渡金山”深まる対立|和田政宗

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《政治家には言えないから僕が言うが、日本の有権者はかなり愚かだ》。昨年の衆院選の結果を受けての前川喜平氏のツイートだが、“オール沖縄”が敗北した名護市長選においても同様の考えなのだろうか。1月27日、前川氏は《佐渡金山についても明治産業遺産についても、まず負の歴史の存在を認めるのが「冷静な判断」だ》と投稿。事実でない「歴史の書き換え」や反日的イデオロギーに加担する勢力に屈することなく、日本は歴史的事実に基づき堂々と申請を行うべきだ。


極めて大きい名護市長選での勝利!

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1月23日に行われた沖縄県名護市長選は、保守系無所属で自民・公明が推薦する現職の渡具知武豊さんが、“オール沖縄”系の候補を破り、再選を果たした。沖縄県知事選など重要な選挙が続く“選挙イヤー”の沖縄にあって、緒戦の勝利は極めて大きいものがある。

渡具知さんが評価されたのは、市長として4年間取り組んだ子育て支援策や、名護東道路の整備などの経済振興策である。前回の選挙より、革新系の相手候補との得票差を広げ、5000票差としたことからも、しっかりとした信任を得ての勝利である。

こうした子育て支援策や経済振興策への名護市民の期待は、出口調査からも明らかであるとともに、今回も前回と同様、現役世代と高齢層で保守系候補への支持と革新系候補への支持の違いが明白に出ており、世代間の考え方の違いがより顕在化してきた。

こうした世代間の支持傾向の違いは、沖縄県各地の選挙で同様の傾向を示しており、現役世代がしっかり投票所に足を運べば保守系候補が勝利し、足を運ばなければ保守系は敗れるという構図が出来上がってきている。

今回の選挙の期日前投票出口調査(沖縄テレビ調べ)によれば、50歳代以下では各年代いずれも渡具知さんへの投票が6割を超え、60代でも55%が投票。一方、70代では革新系候補への投票が61%と逆転し、80代以上では72%となっている。

これに加え出口調査の聞き取りでは、現役世代は経済政策や暮らしの向上などを重視し、高齢層はイデオロギーや基地問題を重視する傾向となっている。すなわち、経済や暮らしを重視するのか、イデオロギーなどを重視するのかで世代間の食い違いが出ているのである。

「対立や分断によっては何も生まれない」

前回4年前の市長選の出口調査では、50代以下は渡具知さん、60代以上は革新系候補となっていた。つまり、前回、今回とも各世代における投票行動はほぼ同様であったが、今回は60代においても渡具知さんへの投票が多くなった。

渡具知さんの4年間の施策を見て、60代においても、対立よりも国などと手を取り合って経済を成長させ所得を増やすことを重視したことが分かる。これは名護市長選と同日に行われた南城市長選でも同じであり、保守系無所属で自民・公明推薦の元市長、古謝景春さんが、“オール沖縄”系の現職を破り、当選した。

沖縄の方々にお話を聞くと、「対立や分断によっては何も生まれない」「経済を良くして沖縄から子供の貧困をなくして欲しい」という声が多い。また、「玉城デニー知事の新型コロナ対策は後手後手である」との批判も高まっている。

保守系がしっかりとした候補を立てることが出来れば、平成26(2014)年以来連敗が続いている沖縄県知事選においても勝利することが出来るはずだ。

前回の知事選は、保守系候補の政策を浸透させることが出来ず、台風の影響などもあり、現役世代が積極的に投票所に足を運ばなかったという状況がある。今年の知事選においては、保守系候補がいかに沖縄県民の暮らしや経済の向上のための政策を掲げ、国政などと連携し、その訴えを現役世代を中心に広げるかにかかっている。

沖縄県民のためにも絶対に県政を奪還しなくてはならない。そして、このように基地問題などのイデオロギーを乗り越え、真に地域の発展を願う方々が沖縄でも増えている一方、我が国全体を見渡したとき、いまだにイデオロギーにとらわれ、一方的な主張を支援する勢力もいる。

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