週刊文春が暴露した河野太郎行政改革担当相の資源エネルギー庁幹部に対する恫喝で、河野氏は原子力発電所が北朝鮮のミサイル攻撃を受けたら危険だとまくし立てている。その河野氏は防衛相時代に、北朝鮮などのミサイル攻撃を防ぐ陸上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の建設を取りやめた張本人だ。原発をミサイル攻撃の危険にさらし、廃棄に持ち込もうとしてイージス・アショアを葬ったのではないかと勘繰りたくなる。
「北朝鮮がミサイル撃ってきたらどうすんだい」
「文春オンライン」で公開された河野氏とエネ庁幹部のやり取りは次の通りだ。
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エネ庁:いや、(エネルギー基本計画原案の再生可能エネルギー比率は政策的な裏付けを)積み上げて36~38%程度。
河野氏:積み上げて36~38になるんだったら、(「程度」を「以上」に変えても)以上は36~38を含む(からいい)じゃないか。日本語わかるやつ出せよ、じゃあ。
河野氏:それから何か知らねえけどさ、日本が再エネ入れるのに不利だ、みてえな記載が(基本計画原案に)いっぱいあっただろ。あれ全部落としたんだろうな。
エネ庁:日本が置かれた自然状況につきましては(略)事実関係を書いたものでございますので・・・。
河野氏:じゃあ、北朝鮮のミサイル攻撃に無防備だと原子力(発電所)は。日本は核燃料、使用済み燃料を捨てる場所も狭くてありませんと、(事実を)全部書けよ。
河野氏:使用済み核燃料が危ねえのは、もう自明の理じゃねえか。おめえ、北朝鮮がミサイル撃ってきたらどうすんだい。テロリストの攻撃受けたらどうすんだい、今の原発。
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原発がミサイルに直撃されれば放射能が拡散して危険、と恐怖心をあおるのは原発反対派の常套句だ。河野氏の頭の中は反原発派と全く同じである。ちなみに田中俊一原子力規制委員長は、核ミサイルは原発をピンポイントで狙うより、大都市の上空で爆発させた方が被害はよほど大きい、と国会で答弁している。
稼働中の原発には特定重大事故対処施設が地下に設置され、航空機テロへの備えをしている。国家基本問題研究所ではさらに、洋上風車やワイヤフェンスを設置する政策提言を出した。ミサイルがこれにぶつかれば、そこで爆発して破壊され、原発への直撃は防げる。
弟の会社が再エネ部品生産
恫喝の言葉は、表現をもっと上品にした上で河野氏にお返ししたい。
「イージス・アショアの配備をやめたのは、あなただ。北朝鮮がミサイルを撃ってきたらどうするのか。あなたは敵基地攻撃を昭和の発想と片付けたが、迎撃できなくしたから敵基地攻撃能力が必要なのだ。あなたが言うように、使用済み核燃料の再処理をやめれば、キャスクという金属容器に入れて地下に埋める直接処分しかないが、廃棄物の量は4倍になって、処分に困る。再エネ比率の上乗せをゴリ押しするのはなぜか。あなたの弟が社長をしている会社が中国に持つ太陽光パネル部品工場の売り上げが伸びるからではないのか」(2021.09.27国家基本問題研究所「今週の直言」より転載)