「高市早苗総理」待望論!|山際澄夫

「高市早苗総理」待望論!|山際澄夫

8月26日、岸田文雄前政調会長が総裁選への出馬を表明。9月3日、菅義偉総理が総裁選への不出馬を表明。8日には高市早苗前総務相、10日には河野太郎行政改革担当相が総裁選への出馬を正式表明。この国を守れるのはいったい誰なのか。絶賛発売中の月刊『Hanada』2021年10月号より、山際澄夫氏の連載「左折禁止!」を特別無料公開!


自民党総裁選をめぐる駆け引き

(撮影/今井一詞)

東京五輪が終わり、政局の焦点は9月に任期満了を迎える自民党総裁選、10月に任期満了となる衆院選挙に移った。それをどうやり遂げるかが、自公政権の消長をも左右する。

8月11日、党新潟県連の高鳥修一会長が二階俊博幹事長に、自民党総裁選を予定どおり、党員投票を伴う形で総選挙前に行うよう申し入れを行った。

これが「いますぐ菅首相を代える意義は、私はみつからない。むしろ、『続投をしてほしい』という声のほうが国民の間にも党内にも強いのではないか」などと再三繰り返し、無投票再選まで示唆する二階氏らを牽制したものであることは言うまでもない。

高鳥氏は、自民党総裁選をフルスペックで行うことの大義をこう語っている。
「自民党は国民から大変厳しい目で見られている。党員一人ひとりが総裁を選ぶというプロセスを解散総選挙前に踏むことが、党内の結束を固めるためにどうしても必要だ」

さらに無投票再選の動きについて、「長老、派閥の領袖が流れを決めるのは、わが党のあり方として大変マイナスだ」と言い切った。
 
高鳥氏は、自民党総裁特別補佐、党筆頭副幹事長などを歴任した党内中堅で、保守系議員の集まりである「保守団結の会」の代表世話人でもある。鳥氏らは、内閣支持率が民主党からの政権奪還以来初めてと言われるほど低い水準に至っているのに、予定調和的に事を運ぼうとする党執行部や派閥の領袖らの動きに強い危機感を感じているのである。

そしてこうした危機感に呼応するかのように、8月10日発売の『文藝春秋』で「総裁選に出馬します!」と手を挙げたのが、安倍政権で総務相や沖縄・北方担当相、また党三役の政調会長も務めた高市早苗氏である。

高市氏は、首相の発信力の無さを問題にしている。
〈各種世論調査で、菅内閣の支持率が下落し続けている。テレビで拝見する菅義偉総理の顔からは、「叩き上げの庶民派総理」として人気を集めた就任当初の潑溂とした表情が消え、発する言葉からは自信も力強さも伝わらなくなってしまっており、残念でたまらない〉
 
また、首相が強い発信をできなくなっているのは、
〈自民党員や国民の皆様の十分な信任を受ける機会がなかったからだ〉として、やはり選挙前にすべての党員が参加する総裁選を行うべきだと主張。そのうえで、〈社会不安が大きく課題が多い今だからこそ、今回、私自身も総裁選に出馬することを決断した〉と言う。

高市早苗よ、日本のサッチャーとなれ!

Getty logo

関連する投稿


「103万円の壁」、自民党は国民民主党を上回る内容を提示すべき|和田政宗

「103万円の壁」、自民党は国民民主党を上回る内容を提示すべき|和田政宗

衆院選で与党が過半数を割り込んだことによって、常任委員長ポストは、衆院選前の「与党15、野党2」から「与党10、野党7」と大きく変化した――。このような厳しい状況のなか、自民党はいま何をすべきなのか。(写真提供/産経新聞社)


我が党はなぜ大敗したのか|和田政宗

我が党はなぜ大敗したのか|和田政宗

衆院選が終わった。自民党は過半数を割る大敗で191議席となった。公明党も24議席となり連立与党でも215議席、与党系無所属議員を加えても221議席で、過半数の233議席に12議席も及ばなかった――。


衆院解散、総選挙での鍵は「アベノミクス」の継承|和田政宗

衆院解散、総選挙での鍵は「アベノミクス」の継承|和田政宗

「石破首相は総裁選やこれまで言ってきたことを翻した」と批判する声もあるなか、本日9日に衆院が解散された。自民党は総選挙で何を訴えるべきなのか。「アベノミクス」の完成こそが経済発展への正しい道である――。


石破新総裁がなぜ党員票で強かったのか|和田政宗

石破新総裁がなぜ党員票で強かったのか|和田政宗

9月27日、自民党新総裁に石破茂元幹事長が選出された。決選投票で高市早苗氏はなぜ逆転されたのか。小泉進次郎氏はなぜ党員票で「惨敗」したのか。石破新総裁〝誕生〟の舞台裏から、今後の展望までを記す。


新総理総裁が直ちにすべきこと|島田洋一

新総理総裁が直ちにすべきこと|島田洋一

とるべき財政政策とエネルギー政策を、アメリカの動きを参照しつつ検討する。自民党総裁候補者たちは「世界の潮流」を本当に理解しているのだろうか?


最新の投稿


【シリーズ国民健康保険料①】とにかく誰もが困っている「国民健康保険料」|笹井恵里子

【シリーズ国民健康保険料①】とにかく誰もが困っている「国民健康保険料」|笹井恵里子

突然、月8万円に……払いたくても払えない健康保険料の実態の一部を、ジャーナリスト・笹井恵里子さんの新著『国民健康保険料が高すぎる!』(中公新書ラクレ)より、三回に分けて紹介。


【シリーズ国民健康保険料②】あまりに重すぎる負担…容赦のない差し押さえも|笹井恵里子

【シリーズ国民健康保険料②】あまりに重すぎる負担…容赦のない差し押さえも|笹井恵里子

税金の滞納が続いた場合、役所が徴収のために財産を差し押さえる場合がある。だが近年、悪質な差し押さえ行為が相次いでいるという(笹井恵里子『国民健康保険料が高すぎる!』(中公新書ラクレ)より)。


【シリーズ国民健康保険料③】“年収の壁”を見直すと国民保険料はどうなるの…?|笹井恵里子

【シリーズ国民健康保険料③】“年収の壁”を見直すと国民保険料はどうなるの…?|笹井恵里子

いまもっぱら話題の「103万円、106万円、130万円の壁」とは何か。そしてそれは国民健康保険料にどう影響するのか(笹井恵里子『国民健康保険料が高すぎる!』(中公新書ラクレ)より)。


【今週のサンモニ】重篤な原子力アレルギー|藤原かずえ

【今週のサンモニ】重篤な原子力アレルギー|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。


【読書亡羊】激震の朝鮮半島に学ぶ食と愛国心  キム・ミンジュ『北朝鮮に出勤します』(新泉者)、キム・ヤンヒ『北朝鮮の食卓』(原書房)

【読書亡羊】激震の朝鮮半島に学ぶ食と愛国心 キム・ミンジュ『北朝鮮に出勤します』(新泉者)、キム・ヤンヒ『北朝鮮の食卓』(原書房)

その昔、読書にかまけて羊を逃がしたものがいるという。転じて「読書亡羊」は「重要なことを忘れて、他のことに夢中になること」を指す四字熟語になった。だが時に仕事を放り出してでも、読むべき本がある。元月刊『Hanada』編集部員のライター・梶原がお送りする時事書評!