朝日新聞の構造的な問題
小手川記者はこの件について、別のツイートで以下のように述べている。 〈2年前に亡くなった院長の口癖は「原発の100キロ以内に病院を作ってはいけない」でした。再稼働の議論が進む中、同じ事故が起きた時に果たして命を守れるのか、疑問です〉(https://twitter.com/tarokote/status/1362012 759622213637)
本当に、双葉病院の院長がこのようなことを言ったのだろうか? 仮に言ったとしても、実際の3・11を受けての原子力規制、原子力防災の議論など何も踏まえていない話をそのまま新聞記者が垂れ流すのはいかがなものか? 100キロという距離は、仙台から米沢・那須・日立あたりまで入ってくる同心円になる。そんな広範囲にわたって無医市町村を作ることのリスクについて、真面目に検討したとは思えない。仮にそんなことをすれば、被曝とは比べものにならない巨大なリスクを抱え込むことになるだろう。
一連の記事やツイートから、小手川記者が偏ったイデオロギーに基づく印象操作を行っているという疑惑がますます深まった。
朝日新聞のデスクはこの記事原稿が上がってきたとき、最低限の裏取りもしなかったのであろうか? 朝日新聞は、吉田調書事件および慰安婦強制連行の捏造記事でトップが辞任に追い込まれたことについて、全く反省していないのではないのか? 再発防止策も極めて不十分だからこそこんな記事が掲載されたのではないか? 創業以来の大赤字で現場の士気が下がっているとは聞くが、ここまで事実に反する恣意的な切り取りが罷り通るならば、「質の低下」は構造的な問題なのかもしれない。
小手川氏には、一連のツイートと記事で深まった疑惑について、丁寧な説明を期待したい。(初出:月刊『Hanada』2021年5月号)
1969年、東京都生まれ。中央大学法学部法律学科卒業。日本長期信用銀行、臨海セミナーを経て独立。2007年より、経済評論家・勝間和代氏と株式会社「監査と分析」を設立。2010年、米国イェール大学経済学部の浜田宏一名誉教授に師事し、薫陶を受ける。放送法遵守を求める視聴者の会事務局長。著書に『経済で読み解く日本史』全6巻(累計45万部突破)、『れいわ民間防衛』(ともに飛鳥新社)、『日本を滅ぼす岩盤規制』(文庫版・飛鳥新社)など多数。