家族全員が揃って悪事を平気で働く国
前回の本欄では、中国伝統の宗族制度に由来する「一族中心主義」に考察のメスをいれ、それが現代の中国社会を支配する普遍的な行動原理の一つであると結論づけた。
遠い昔から現在に至るまで、大半の中国人は善悪の判断を行うのに際しては家族あるいは一族の利得を判断の基準にして、自分の家族もしくは一族にとって利得のあることはすなわち「善」だと思っているわけだ。たとえ汚職や詐欺のような、社会にとって「悪」であるはずの行為であっても、家族・一族に利益をもたらすものであれば、「悪」であるとは全然思わない。むしろ、家族全員が揃ってこのような悪事を平気で働くのである。