中国共産党は全ての自由を否定している/『見えない手』前書き

中国共産党は全ての自由を否定している/『見えない手』前書き

6万部突破のベストセラー『目に見えぬ侵略』の第二弾『『見えない手 中国共産党は世界をどう作り変えるか』がついに発売! アメリカ、イギリス、EU各国での中国の影響力工作を実名で暴露。さらに日本についても特別加筆もある必読の書です。こちらでは原著前書きを公開!


見えない手 中国共産党は世界をどう作り変えるか

「恐れずに生きる権利」に脅威をもたらす中国共産党

「民主主義の自由は歴史に裏打ちされたものであり、いずれ世界のあらゆる場所で勝利するだろう」という心地よい信念は、常に希望的観測にあふれたものであった。ここ20年から30年の世界の出来事が教えているのは、もはやこのような前提が通用しなくなったということだ。

普遍的人権、民主的な手続き、そして法の支配などには強力な敵が存在し、その中でも最も手ごわい存在が、中国共産党に支配されている中国であることは間違いない。

中国共産党の影響力と干渉のプログラムは、巧みに企てられた大胆なものであり、莫大な経済資源や、技術力に支えられている。西欧諸国の制度を破壊し、そのエリートを取り込むという広範なキャンペーンは、中国共産党の指導者たちが期待していたよりもはるか進んでいる。

第二次世界大戦後に構築された民主的な制度や世界秩序は、想像以上に脆弱(ぜいじゃく)であったことが証明され、実際のところ民主主義制度に対して展開されている、現在の政治闘争における新兵器に対しても脆弱なのだ。

西洋諸国の多くの人々は認めたがらないが、中国共産党は民主制度の弱点を利用して、民主制度そのものを弱体化させようとしている。

中国共産党がもたらす脅威は、すべての人がもつ「恐れずに生きる権利」に、暗い影を落としている。西洋諸国に住む多くの中国人、チベット人、ウイグル人、法輪功の信者、そして香港の民主化活動家たちは、中国共産党の弾圧の最前線にいて、常に恐怖の中で生きている。

政府、学術機関、企業の首脳たちは、北京の怒りに触れた場合の経済的な報復を恐れている。この恐怖は伝播(でんぱ)しやすく、有害なものだ。国家繁栄のための代償として、このようなことを常態化させてはならない。

西洋諸国のあらゆる民主制度が影響を受けている。その抵抗が弱いおかげで、北京の強要と脅迫の戦術は、ますます広範な人々に対して使用されはじめている。中国共産党の圧力を直接感じない人もいるだろう。

それでも北京の権威主義的な規範(きはん)が世界中に輸出されているため、世界は変化しているのだ。

もし出版社、映画会社、劇場の経営者たちが「中国の人民の感情を傷つける」可能性のある意見を検閲しようと決めれば、その瞬間に言論の自由は否定されてしまうことになる。ツイッターで北京を怒らせるようなシンプルなことを書き込んでも、それで職を失うことになる人も出てくるかもしれない。

大学のトップが教授たちに対して中国共産党に対する批判を和らげるように圧力をかけたり、ダライ・ラマがキャンパスに入ることを禁止した瞬間に、学問の自由は侵されることになる。

また、仏教団体が習近平への忠誠を誓い、教会の信徒の中にスパイが潜入した瞬間に、信教の自由は脅(おびや)かされてしまう。北京の監視体制はサイバー空間での侵入や合法的な抗議活動に参加する市民の撮影などで強化されており、すでに個人のプライバシーは侵害されている。

中国共産党と結びついた組織や党の代理人が政治家を堕落させ、北京が自らの仕事のために強力なビジネスロビーを共謀して行うとき、民主制度そのものが攻撃されるのだ。

Getty logo

「中国共産党は中国人の代弁者」という計略

関連する投稿


日本人宇宙飛行士、月に行く|和田政宗

日本人宇宙飛行士、月に行く|和田政宗

今年の政治における最大のニュースは、10月の衆院選での与党過半数割れであると思う。自民党にとって厳しい結果であるばかりか、これによる日本の政治の先行きへの不安や、日本の昨年の名目GDPが世界第4位に落ちたことから、経済面においても日本の将来に悲観的な観測をお持ちの方がいらっしゃると思う。「先行きは暗い」とおっしゃる方も多くいる。一方で、今年決定したことの中では、将来の日本にとても希望が持てるものが含まれている――。


トランプの真意とハリスの本性|【ほぼトラ通信4】石井陽子

トランプの真意とハリスの本性|【ほぼトラ通信4】石井陽子

「交渉のプロ」トランプの政治を“専門家”もメディアも全く理解できていない。トランプの「株価暴落」「カマラ・クラッシュ」予言が的中!狂人を装うトランプの真意とは? そして、カマラ・ハリスの本当の恐ろしさを誰も伝えていない。


習近平「チベット抹殺政策」と失望!岸田総理|石井陽子

習近平「チベット抹殺政策」と失望!岸田総理|石井陽子

すぐ隣の国でこれほどの非道が今もなお行なわれているのに、なぜ日本のメディアは全く報じず、政府・外務省も沈黙を貫くのか。公約を簡単に反故にした岸田総理に問う!


中国、頼清徳新総統に早くも圧力! 中国が描く台湾侵略シナリオ|和田政宗

中国、頼清徳新総統に早くも圧力! 中国が描く台湾侵略シナリオ|和田政宗

頼清徳新総統の演説は極めて温和で理知的な内容であったが、5月23日、中国による台湾周辺海域全域での軍事演習開始により、事態は一気に緊迫し始めた――。


全米「反イスラエルデモ」の真実―トランプ、動く! 【ほぼトラ通信3】|石井陽子

全米「反イスラエルデモ」の真実―トランプ、動く! 【ほぼトラ通信3】|石井陽子

全米に広がる「反イスラエルデモ」は周到に準備されていた――資金源となった中国在住の実業家やBLM運動との繋がりなど、メディア報道が真実を伝えない中、次期米大統領最有力者のあの男が動いた!


最新の投稿


【今週のサンモニ】まだまだ続くアクロバット・トランプ叩き|藤原かずえ

【今週のサンモニ】まだまだ続くアクロバット・トランプ叩き|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。


【今週のサンモニ】アクロバティックな「トランプ叩き」はやめましょう|藤原かずえ

【今週のサンモニ】アクロバティックな「トランプ叩き」はやめましょう|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。


【今週のサンモニ】勘違いリベラル番組、今年もスタート|藤原かずえ

【今週のサンモニ】勘違いリベラル番組、今年もスタート|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。


なべやかん遺産|「自分の家でしか見た事がないコレクション」

なべやかん遺産|「自分の家でしか見た事がないコレクション」

芸人にして、日本屈指のコレクターでもある、なべやかん。 そのマニアックなコレクションを紹介する月刊『Hanada』の好評連載「なべやかん遺産」がますますパワーアップして「Hanadaプラス」にお引越し! 今回は「自分の家でしか見た事がないコレクション」!


【今週のサンモニ】年の瀬に傲慢溢れるサンモニです|藤原かずえ

【今週のサンモニ】年の瀬に傲慢溢れるサンモニです|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。