中国人民解放軍が進める「外国要人データベース化」|山崎文明

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中国国有系企業が世界の財界関係者、軍関係者を含む240万人分の個人データを集めていたことを各国メディアが一斉に報じた。創設者はデータを中国政府の諜報機関や人民解放軍へ提供していると公言。住所、電話番号から、交友関係、銀行取引記録、診療カルテ情報に至るまで。その中には日本人も500名以上が記録されていた!


こうしたオープンソースの情報を積み重ねることによって思わぬ情報暴露につながることを示した米軍の秘密基地暴露事件が思い出される。

この事件は、2018年1月にスマートフォンなどのGPS情報を使ってジョギングやサイクリングなどのアクティビティを記録・分析できるアプリ「ストラバ(Strava)」に新たに搭載された機能ヒートマップ(Heatmap)について一人の男が呟いたことで発覚している。

ヒートマップは、アプリを使っている人のアクティビティデータを取りまとめることで、地球上のどの場所で多くのアクティビティが行われているのかを色で示すことができる機能だが、一人の男性が「フィットネス&ソーシャルメディア社のストラバがアクティビティヒートマップ機能をリリース。軍の基地の場所を特定するのに優れている」というツイートをするとともに、シリアに置かれている「フマイミーン空軍基地」とみられる位置のヒートマップ画像を公開したのだ。基地で任務にあたる兵士やスタッフがスマートフォンやFitbitウォッチのトラッキング機能をオンにしたまま業務や訓練を実施したことで、活動の全てが記録されていたことが原因と見られる。

ツイートのマップには、おそらくシリアのどこかと思われる基地の中における軍関係者の行動バターンがクッキリと表れていることがわかるほか、主要施設と思われる場所がハッキリと示されていたのだ。日本でも防衛という要職を担う岸信夫防衛大臣の右腕につけられているスマートウオッチが気に掛かる。

シャドウマップがログから再現した振華データの艦船モニターの画面

アフガニスタンのヘルマンド州にある軍事基地のジョギングをする人のヒートマップ

これらデータベースの作成については、振華データ以外にも深セン鎮華データ情報技術株式会社(china-revival.com)、Weiju(aggso.com)、SocialDataMax(socialdatamax.com)の関与が疑われており、中国人民解放軍のビックデータ解析や超限戦への取り組みの本気度がわかる。

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