私が7月28日から8月10日にかけて立ち上げた署名サイト(http://mongolhel.sakura.ne.jp/)
には3641人もの支持者の賛同を得ることができた。その半分が同胞の国、モンゴル国(北モンゴル)からのものだ。こうした結果は、南北モンゴルが1945年に大国の謀略(米英ソのヤルタ協定)によって分断された後も、同じチンギス・ハーンの子孫で、同じ心理を共有し、同じ歴史を創造してきたという民族意識が少しも変わっていない事実の表れである。モンゴル国のモンゴル人は、同胞たちが中国に抑圧されている事実を以前から知っており、南モンゴルのモンゴル人と同じように我慢してきた。もうこれ以上は許せない、と積極的に支援を始めたのである。
内モンゴルの3分の2はかつて日本の影響下にあった。日本は若いモンゴル人の憧れの地である。若いモンゴル人たちの命を懸けた闘いに日本も積極的に関与し、モンゴル人を応援してほしい。国際社会への関与は、日本の憲法改正の実現にもつながる。( 2020.09.07 国家基本問題研究所「今週の直言」より転載)
著者略歴
静岡大学人文社会科学部アジア研究センター長、文化人類学者。1964年、中国・内モンゴル自治区オルドス生まれ。北京第二外国語学院大アジア・アフリカ語学部日本語学科卒。89年3月に来日し、国立民族学博物館・総合研究大学院大学博士課程修了。総合研究大学院大などを経て現職。2000年、日本国籍を取得し、日本名・大野旭(おおの・あきら)とする。11年、『墓標なき草原(上下巻)』(岩波書店)で第14回司馬遼太郎賞を受賞。著書に『中国人の少数民族根絶計画』(産経NF文庫)など。