もはや待ったなしの課題
パンデミック(世界的大流行)となった新型コロナウイルス感染症は戦後長い期間、太平な生活を享受していた日本人に、命が失われ、社会が混乱の渦に巻き込まれるという危機が現実に訪れることを呼び覚ました。しかし国民は、一定の私権が制限される緊急事態宣言を受け入れ、現在のところ、先進各国のなかでも圧倒的に犠牲者が少ないという実績を残している。
しかし、国民の危機を救ったこの緊急事態宣言は、残念ながら最高法規である日本国憲法で規定されたものではない。一部とはいえ、私権を制限する重要な結果を招くにもかかわらず、単に新型インフルエンザ特措法に基づいたものに過ぎないのだ。現在、憲法改正論議が進んでいるが、憲法に「緊急事態条項」を盛り込むことは、もはや待ったなしの課題となった。