まず、保守系日刊紙・韓国経済新聞の元主筆、鄭奎載【チョンギュジェ】氏が立ち上げたチャ
ンネル「ペン・アンド・マイク鄭奎載TV」。
日本が韓国に対する輸出優遇措置を通常基準に戻したいわゆる「ホワイト国」からの除外を閣議決定したことを受け、文在寅大統領が臨時閣議で声明文を読み上げたことについて、メーン解説者を務める鄭氏はこう指摘した。
「あれを見て私は非常に驚いた。あの檄文は学生運動をやっている者たちが書く水準だ。日本のことを『盗人猛々しい』と批判したが、それが最近起こっている一連の出来事を指すなら、先に挑発したのが文政権であるのは明白なのだから全く当てはまらない。日本は少なくとも3回は、韓国に元徴用工判決を受けたその後の動きについて外交協議を要請したが、それに一切応じなかったのは韓国のほうではないか」
「文大統領は、ひょっとすると安倍首相を植民地統治の総督と錯覚しているのではないか。だから一所懸命に戦っている自分は正しいのだと言って、そこに道徳的価値を付与しているようだ。安倍首相が総督だって? 時代も場所も状況も完全に錯覚している。韓国の国民も同じように錯覚している。韓国人はよく分かっていない。元徴用工判決や慰安婦問題などについて私がちょっと話してあげると、皆『そうだったのか。知らなかった』と驚く」
「文大統領は檄文でウソもついた。日本を一番近い友好国と考えてきたと言ったが、もし本当に友好国と考えたら元徴用工訴訟の審理を保留にした自国の大法院長(最高裁長官)を起訴したりするか。慰安婦合意に基づいた財団を解散させるか。こういうことは起こりえないはず。日本と戦いたいならまずは正直に、真摯な姿勢で臨めと言いたい」
「逆説的に言えば、日本こそ韓国にとって最大の協力国であることが今回の出来事で表面化したと言える。ちょっとでも関係が悪化すると問題が深刻になるほど、両国の経済関係
は非常に密接だということだ」
ズバズバと韓国の、特に文政権の問題点を指摘していて小気味いい。
「1965年の日韓請求権協定で個人請求権は解決済み」
鄭氏は別の投稿動画で「各論」についても詳しく語っている。現在の日韓関係悪化の引き金となった2018年10月の大法院による元徴用工訴訟判決をめぐり、日本側が「同問題は解決済み」と反論する根拠としている1965年の日韓請求権協定について、韓国側主張のおかしさを「この協定のどこを読んでも両国の個人請求権は解決されている。それなのに、文大統領は個人の請求権は協定に含まれ
ないと強弁している」と語った。
鄭氏は、大法院判決までのプロセスにも疑問を投げ掛けている。大法院は2012年、日本企業は賠償すべきとの判断を下し、それを受けた差し戻し審への再上告を受け、再び審理を行わなければならなかったが、朴槿惠大統領(当時)が日韓関係への悪影響を懸念し、審理がストップしていた。当時の梁承泰(ヤンスンテ)大法院長がそうした政権の判断を尊重したためだ。鄭氏はこう指摘する。
「他国との条約や協定は法律と同じであるため、それがどういう趣旨で作られたのかを尊重したうえで判決を下さなければならない、という司法の原則がある。また、協定を覆すにはそれが違憲であるか、到底従えない事情が発生したことを司法が証明しなければならない。しかも、その証明を韓国の司法がやろうとしても越権行為だからできない。
それなのに朴大統領の懸念に応じて、梁大法院長が審理を保留したことを『司法壟断』 『司法積弊』などと罵倒しているし、(7年前に大法院が賠償命令の判断を下した際に判決文を書いた)判事は『建国するつもりで書いた』と言ったという。どうかしているのでないか」