「素養」も「資格」もない “ある種”ジャーナリスト青木理|藤原かずえ

「素養」も「資格」もない “ある種”ジャーナリスト青木理|藤原かずえ

安倍政権は「極右反動のウソつき恥知らず政権」であり、「何があっても支持する連中はまるで新興宗教の信者。ならばそうした連中は極右反動のウソつき恥知らず教――長いので略せば『アホダラ教』の信者か」と『サンデー毎日』(2月23日号)で意味不明な珍説を披露した青木理氏。「気骨のジャーナリスト」と持ち上げるメディアもあるが、本当にそうなのか。青木理氏の言説【国内政治編】を論理的に分析!“ある種”ジャーナリストの正体とは…。


青木氏は、しばしば問題の論点を変更することで、前提を無視して結論を導きます。

〈衆院選自民党圧勝〉
ある種、有権者は正直で、「今回の選挙、何なんだ」とよくわからないまま投票に行かなかったという選挙で、こういう形が出た。(自民党には)これで胸を張られても困るから謙虚にやってほしい。
麻生氏の「北朝鮮のおかげ」発言は謙虚のカケラも見られなかったし、野党の質問時間を少なくして謙虚のカケラもない(サンモニ、17年10月29日)。

[注釈]自民圧勝の選挙結果について訊かれた青木氏は、「正直な有権者が棄権したため」とする根拠のない言説を根拠にして、国民の民意を否定したうえで、さりげなく【論点変更 shifting to another problem】し、自民党は謙虚のカケラもないという結論を導きました。自己防衛のための論点変更です。

〈日大アメフト問題〉
日大アメフトの問題は、トップが責任をとらず、中間は上を守って責任を下に押し付け、下が一番苦しむという意味で、まさにどこかの話と同じだ。この問題、テレビのワイドショーが物凄くやっている。一方で、モリ・カケは飽きているみたいな風潮がある。
 
ある種、政治のほうでスッキリしないのをこっちのほうで、ある種、溜飲を下げるというか、同じことが起きている物語になっている面もあるのかな(サンモニ、18年6月3日)。

[注釈]いかなる事案でも、最後には「アベが悪い」という結論を導く典型例です。他者攻撃のための論点変更です。
 
本稿で示したように、青木氏の言説には広範にわたる多くの誤謬が含まれています。仮に青木氏が安倍政権を公平にチェックしているのであれば、その誤謬はときに安倍政権に不当な高評価を与え、ときに不当な低評価を与えることになります。

しかしながら、青木氏の誤謬のほぼすべては、安倍政権に不当な低評価を与えるものと言えます。
 
この事実から帰納的に考えれば、青木氏は安倍政権を公平にチェックしているのではなく、“ある種”、安倍政権を打倒する目的で詭弁(意図的な誤謬)を使っている可能性が高いと言えます。

このようなポジショントークは、明らかにジャーナリズムでなくメディアを利用した政治運動です。いずれにしても、詭弁を使って意見の異なる相手を貶めるポジショントークは、邪悪な力を使って人を呪う黒魔術のようなものです。

藤原かずえ

https://hanada-plus.jp/articles/234

個人ブログ「マスメディア報道のメソドロジー」にて、論理学や心理学の定義に基づいた、メディアの報道・政治家の議論における論理的誤謬などの問題点を指摘。「ひるおび」「報道ステーション」「NEWS23」「サンデーモーニング」などの具体的な放送内容や議員の答弁、記者の発言などを例示しての論理的な分析が話題を呼んでいる。記事の一部を言論プラットフォーム「アゴラ」にも転載中。

関連する投稿


【今週のサンモニ】日本国民に対する卑劣なヘイトと差別|藤原かずえ

【今週のサンモニ】日本国民に対する卑劣なヘイトと差別|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。今週はやたらと「ヘイト」「差別」といった言葉が飛び交いました。


【今週のサンモニ】さすが「反日番組」!メディアの責任を日本国民にシレッと転嫁|藤原かずえ

【今週のサンモニ】さすが「反日番組」!メディアの責任を日本国民にシレッと転嫁|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。今週も自分たちについては無視してジャニーズ性加害問題を報じております。


【今週のサンモニ】「テレビの沈黙」が性加害を生んだ|藤原かずえ

【今週のサンモニ】「テレビの沈黙」が性加害を生んだ|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。今週はジャニーズ性加害問題。


【今週のサンモニ】「汚染水放出」デマを繰り返す日本最大級の風評加害番組|藤原かずえ

【今週のサンモニ】「汚染水放出」デマを繰り返す日本最大級の風評加害番組|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。先週に引き続き、原発処理水放出についてどうしようもないイチャモンをつけまくりでした。


【今週のサンモニ】「汚染水放出」と風評加害を拡散する『サンデーモーニング』|藤原かずえ

【今週のサンモニ】「汚染水放出」と風評加害を拡散する『サンデーモーニング』|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。今週は原発処理水放出を巡って、イチャモンをつけまくっております。


最新の投稿


「ニュー岸田」の誕生か? 財務省に抗い速やかに減税を!|和田政宗

「ニュー岸田」の誕生か? 財務省に抗い速やかに減税を!|和田政宗

「岸田内閣は負担増内閣」「国民生活の実態を分かってない」との声が届いたのか、岸田文雄総理が新たな経済対策を打ち出した――。実現か失望か、岸田政権としてまさにここが正念場である。(サムネイルは首相官邸HPより)


なべやかん遺産|「コレクションの飾り方」

なべやかん遺産|「コレクションの飾り方」

芸人にして、日本屈指のコレクターでもある、なべやかん。 そのマニアックなコレクションを紹介する月刊『Hanada』の好評連載「なべやかん遺産」がますますパワーアップして「Hanadaプラス」にお引越し! 今回は「コレクションの飾り方」!


【処理水】国際社会に問え!「日本と中国、どちらが信頼できるか」|上野景文

【処理水】国際社会に問え!「日本と中国、どちらが信頼できるか」|上野景文

福島第一原子力発電所の処理水放出を開始した途端、喧しく反対する中国。日本はどのように国際社会に訴えるべきか。


【レジェンド対談】出版界よ、もっと元気を出せ!|田中健五×木滑良久

【レジェンド対談】出版界よ、もっと元気を出せ!|田中健五×木滑良久

マガジンハウスで『BRUTUS』『POPEYE』などを創刊した名編集者・木滑良久さんが亡くなりました(2023年7月13日)。追悼として、『文藝春秋』で「田中角栄研究」を手掛けた田中健五さん(2022年5月7日逝去)との貴重な対談を『Hanada』プラスに特別公開! かつての出版界の破天荒さ、編集という仕事がどれだけおもしろいのか、そして木滑さんと田中さんがどのような編集者だったのかを知っていただければうれしいです。


慰安婦問題を糾弾する「日韓共同シンポジウム」の衝撃|松木國俊

慰安婦問題を糾弾する「日韓共同シンポジウム」の衝撃|松木國俊

日本側の慰安婦問題研究者が、「敵地」とも言うべき韓国に乗り込み、直接韓国の人々に真実を訴えるという、大胆で意欲的な企画が実現した。これまでになかった日韓「慰安婦の嘘」との闘いをシンポジウムの登壇者、松木國俊氏が緊急レポート!