自衛隊は整理、片付けにこだわる
私は22歳の時、自衛隊に入隊し、空挺部隊に所属。もともと、体を鍛えたり、動かしたりするのが好きだったので、自衛隊は向いているだろうと思ったら違いました。まず、掃除、片付けを徹底的に叩き込まれるのです。
たとえば、定期的に「台風」という訓練があります。教官が部屋に入ってきて、洋服を引き出しからひっくり返したり、ベッドをぐちゃぐちゃにしたり、わざと散らかすのです。その時に、Tシャツなど1つ2つ、その部屋から物を持ち出していきます。
私たちは部屋に戻り、片付けながら、持ち出されたものを確認していく。教官のところに行って持ち出されたものを伝えると返してもらえる、というもの。
部隊によっては、部屋を整頓できていなかった時の罰として「台風」を行う場合もあるようですが、私のいた空挺部隊では、所有しているものをきちんと掌握できているかどうかを確認する訓練として行っていました。
教育期間中は、私物を保管するロッカーの抜き打ち検査があり、きちんと整理していないと、収納物を部屋にぶちまけられます。
なぜそこまで整理、片付けを徹底的に叩き込むのか。それは、整理の悪さは、有事の際、命取りになる可能性があるからです。
たとえば有事の際、備品1つなくしただけで、それを敵に発見されたら部隊の居場所が特定されてしまう。待ち伏せされ、命を落とす危険もあるわけです。
また、緊急で出動する際、整理が悪くて準備に手間取っていたら、全体に迷惑をかけるだけでなく、誰かの命が危険に曝されることもあるでしょう。
だからこそ、自衛隊では整理、片付けにこだわるのです。
私は自衛隊で培った整理術を活かし、2年前に清掃会社「お掃除レンジャー」を立ち上げました。
年末年始に大掃除をされる方も多いでしょうから、今回は「自衛隊式片付け術」を伝授したいと思います。
■面(ツラ)を揃える
自衛隊では、物の位置を隣の物ときっちり合わせることを徹底的に教え込まれます。「綺麗に見せる」ということをとても大切にするのです。自衛隊では、これを「面を揃える」と言います。面を揃えると見た目が綺麗なだけでなく、ホコリが溜まる位置も一定なので、サッと掃除するだけでよくなります。
お掃除レンジャーではホテルなど宿泊施設の清掃も行っていますが、この見た目の綺麗さは重要です。いくら部屋を徹底的に掃除したとしても、シャンプー、リンスなどの位置が揃っていないと、宿泊者に「手を抜いた」 「整っていない」という印象を与えてしまいます。
普段の生活では、面を揃えて置くだけで、少し掃除は手を抜いたとしても部屋が整って見えますから、ぜひ活用してください。
面(ツラ)を揃えるだけで、こんなに美しく(筆者の自宅より)