ルールを守るのが基本!
この問題は前述のとおり、あくまでもデューデリの問題なのだ。政府が公認したり、資金援助したりする場合は、対象がアートであれなんであれ、かならず選考基準がなくてはならない。そして毎回、対象が選考基準に合致しているか、きちんとチェックしなくてはならない。
一般国民から批判が噴出して政府が公認を取り消した「Japan Unlimited」に関しては、在オーストリア日本大使館のホームページにこうある。
4 承認要件
周年事業の対象となる事業は以下のとおりです。
⑴オーストリア国内で開催されるもの。日本で開催される事業の申請先は在日オーストリア大使館。
⑵開催時期が2019年であるもの。2018年下旬及び2020年上旬に開催されるものについては、例外として対象となることがある。
⑶文化、人物交流、スポーツ、教育、観光、政治、経済、科学等の分野において、日本を紹介するもの、又は、日墺両国の相互理解を深め、友好を促進するもの。
⑷主催者が事業の一切の責任を負うもの。
⑸以下に該当しないもの。 公序良俗に反する、又は、オーストリアの法律に違反する事業。日本とオーストリアの友好関係を損なう事業。営利を目的とした事業又は公益性が乏しい事業。 特定の主義・主張又は宗教の普及を目的とする事業。
表現の自由を巡る不寛容?
「公序良俗に反しない」 「特定の主義・主張を目的としてはならない」など、公的事業であれば極めて当たり前の承認要件である。「Japan Unlimited」の出展作品は、完全にこれに抵触するはずだ。
しかし、外務省は個別の作品に言及することなく、全体として「日墺友好に関連性がない」という理由で公認を取り消した。
これについて、東京新聞はさっそく11月6日の夕刊で「表現の自由を巡る不寛容が国外に波及した格好」と報じた。
寛容も不寛容もない。表現の自由とも関係ない。会田氏やチンポムの出展を妨げているのではない。事業の趣旨には合致しないから公認しない、と言っているだけだ。
会田氏は自身のツイッターで、文句があるならこの展示の企画をしたイタリア人のキュレーターに言えとつぶやいていたが、それも筋違いである。
そのイタリア人がどのような思想の持ち主で、どのような企画をし、それがこちらの目にはどんなに不愉快に映っても、それこそ思想信条の自由だ。問題はそこではない。