本書は時系列を逆転させているからこそ、「何が次の政権を生んだのか」の流れが見えやすくなっている。そして一貫して感じるのは「安倍総理の影」だ。
安倍総理の官房長官として実績を残した菅総理。安倍政権で長く外相をつとめ、党でも政調会長を務めた岸田総理。安倍総理を内側から批判することでスポットライトが当たった石破総理。そして「安倍政治の継承者」を自負し、石破政権の後に反動として誕生した高市総理――。
まさに「死せる安倍、生ける自民党を走らす」だが、その自民党も非主流派総理を二代続けて生み出した「派閥解体」による弱体化は免れない。
本書にはリベラル批判、野党への叱咤激励もふんだんに盛り込まれている。
御厨 リベラルと言われる人たちは上から目線で、「ものを考えていない大衆」を啓蒙して反自民に持って行こうとしてきた。そのやり方では、もう誰もついてこない。
このままでは、自民党とその右に位置する参政党の引っ張り合いが「真ん中」となってしまい、リベラル政党は消滅しかねない事態になっていることが本書の分析からも実感できる。
筆者(梶原)は動画が苦手で、1時間の動画でさえ見るのがなかなかしんどいのだが、本書はテンポよく進む座談の面白さに、あっという間に読み終わってしまう。小ネタもたっぷりのこうした「大人の座談」が活字で楽しめるのは僥倖という他ない。
ライター・編集者。1980年埼玉県生まれ。月刊『WiLL』、月刊『Hanada』編集部を経てフリー。雑誌、ウェブでインタビュー記事などの取材・執筆のほか、書籍の編集・構成などを手掛ける。

