また、BBCは、コンクリートで18m、土(earth)で60mと報じています。ちなみに土の強度は多くとも数MPaです。Global Security.orgの見解とは大きな乖離があります。
Visual guide to Fordo: Iran’s secretive nuclear site that only a US bomb could hit - BBC News
https://www.bbc.co.uk/news/resources/idt-868e3c3d-25ec-43cb-bcc0-8832464b91caBombed by the US in a dramatic escalation, this mountainside enrichment plant south of Tehran is vital to Iran’s nuclear ambitions, and central to Israel’s efforts to dismantle them.
一方、フォルドゥ核施設の基礎は堅硬な花崗岩で構成されており、その一軸圧縮強度は概ね100MPa~300MPaです。また、この地域は山容がフラットなことから、強度を低下させる深層風化が生じている可能性も低いといえます。
このように考えた場合、貫入量は一軸圧縮強度と逆相関するので、単発のバンカーバスターの貫入量はたかだか数mであると推定されます。この場合、貫入と爆破を同位置で6回繰り返したところで、地下80mには到達していないと考えるのが蓋然的です。
もちろん、貫入後の爆破によって原位置岩盤の強度は低下しますが、その影響範囲には自ずと限界があり、爆破によって破壊される箇所(応力集中箇所)も主として爆破点より自由面(地表)に近い上半部です。
さて、以上のような考察には、地盤工学の専門知識を必要とします。
地下空間をめぐる軍事作戦において、地質リスクの評価は必要不可欠です。もし米軍が地盤工学の専門家のアドバイスなしに地下80mの核濃縮施設の破壊を目的にしてバンカーバスターによる攻撃を行なったとすれば、それはリスクの高い運任せの作戦であったといえます。
一方、米軍の目的が、地表付近のアクセス坑道を徹底的に破壊することであったとすれば、バンカーバスターの使用は合理的な戦術であったといえます。この攻撃によって地下施設へのアクセスは一定期間不可能となります。
また破壊された地盤における坑道の掘削は、自然の岩盤の掘削よりも困難を要するために、復旧にはさらなる時間を要します。
米国の合理性を信じれば、今回の攻撃で優先されたターゲットは、核濃縮施設ではなくアクセス坑道であったと考えられます。

