膳場貴子氏:トランプ政権が次々に押し進める、大きな方針転換。それがさまざまな変化をアメリカ社会にもたらしています。そのひとつとして、あの有名なスローガンが街から撤去されました。
3月10日(月)、アメリカ・ワシントン。ホワイトハウスの目と鼻の先の通りで、工事が突然始まりました。通りの名前は「ブラック・ライブズ・マター=黒人の命は大切だ」。地面に描かれたその文字が撤去されることとなったのです。(中略)
今回、それが撤去される背景には、トランプ政権が掲げた大きな方針転換がありました。それは「DEI」の撤廃です。DEIとは【Diversity=多様性】【Equity=公平性】【Inclusion=包摂性】の頭文字を取った言葉で、性別や人種などの多様性を尊重し、公平性に配慮した社会を目指す動きを指します。トランプ大統領は就任早々、その方針に異を唱えました。
DEIは【認知的多様性 cognitive diversity】による【集合知 collective intelligence】を得て集団のパフォーマンスを向上する上で重要な概念です。
ただし、現実的な問題といえるのが、DEIの実現のためにEquity=公平性が不当に展開されていることです。米国の民主党政権が公平性を実現するために推奨してきた【積極的格差是正措置 affirmative action/ positive action】は、あくまでも優遇措置であり、【機会の平等 equal opportunity】に反するものです。
積極的格差是正措置は、人種・肌の色・宗教・性別・国籍(1964年の米国公民権法)などの属性に関するマイノリティが優遇措置を受けますが、これらの属性に基づく多様性あるいは包摂性が集団のパフォーマンスを向上することに繋がるか否かは不明です。
すなわち、人種・肌の色・宗教・性別・国籍が異なるからといって、認知的多様性が高まることが保障されません。人間はもっと複雑な存在であり、単純な属性による多様化が集団のパフォーマンスの低下を生む可能性があります。
そしてこの場合に積極的格差是正措置は逆差別ということになります。

【今週のサンモニ】トランプ「航空機事故」会見で本当に言ったこと|藤原かずえ | Hanadaプラス
https://hanada-plus.jp/articles/1623『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。