元村有希子氏(2024年7月28日):やはり、これは私の私見ですが、国家同士で競い合うというモデル自体が限界に来ている。そこには必ずプロパガンダが入り、国威発揚、国が押しのけて勝つという、政治家に利用されるということもある。五輪はいろいろな課題があるが、根本的に見直す時期に来ている。
荻上チキ氏(2024年7月28日):五輪は基本的には国家間の対立や競争ではなくて、選手個人の戦いと位置づけられている。各国がメダルを数えて、何枚獲ったか競ったり、誇ったりすることを自制しようと。ただ先の五輪などでも、例えば日本の場合は五輪のメダルの数を競うようなことを公式の五輪委員会が行ったりしていて、そうした建前と実際の矛盾というものは常に指摘されてきことだ。
メダルを何枚獲ったか、トップニュースでリアルタイムに国民に周知しているのは、日本の五輪委員会ではなく『サンデーモーニング』をはじめとする日本のテレビです。
五輪を「国威発揚」「国が押しのけて勝つ」「政治に利用される」などとして無理やり政府や五輪委員会を叩く一方、自ら先頭に立って「メダルラッシュ!」「今日も金〇個に銀〇個!」と報じるのは極めて厚顔無恥な欺瞞です。
建前と実際の矛盾を露呈している『サンデーモーニング』こそ、根本的に見直す時期に来ていると言えます。
貧困者をアクロバティックに被害者ポジションに立たせる
さて、五輪の話題に続いて報じられたのは、南海トラフの巨大地震をめぐる話題です。
膳場貴子氏:ちょうど1週間、巨大地震注意という、まさに今その期間中ですので、地震への備え・点検したりして過ごしているんですけれども…
サヘル・ローズ氏:日本に来て30年経つのですけれども、やはり小学校に通っているときから避難訓練とか、日本に住んでいる限りは地震からは逃げようがないし、備えることが当たり前の習慣になっていても、どこかで人って忘れてしまって、危機感が薄れてしまうことがあると思う。
でも政府が初めて臨時アナウンスをすることで、今の情報を聴いていても、やっぱり不安になってしまう。なんだかんだで、人にはこの先何が起きるかわからないと思ってしまうと、もしもの時に備えて私たちも準備をする。備える。でも、いま家庭的にあまりにも生活が苦しい方々にとって、備えることも厳しかったりとか、その余裕のない方々に対して政府は配慮できるだろうか。