藪中氏のこの発言を聞く限り、あまりにも論理展開が雑であると同時にあまりにも人任せであり、大事な問題だと自分事として考えていないような印象を受けます。『サンデーモーニング』の出演者の皆さんは、総じて観念的に社会を説教するだけで、具体的なことは何も言わないのです(笑)。
暑さより寒さによる死の方が多い
目加田説子氏:1972年に人間と環境の関係について議論する初の国連会議がストックホルムで開催された。人間環境宣言を採択したが、どういうことかというと、環境は人権問題なんだということを謳った。とはいえ、法的拘束力のない宣言だったが、つい先日、欧州の人権裁判所で画期的な判決が出た。「暑さに伴うリスクから健康を守ることができなくなった。なぜなら政府がきちんと対策を取ってないからだ」ということで救済を求めた。その結果として、判決は「地球環境と人権は密接に関係があって、政府はきちんと対策を講じなければいけない」という内容だった。こういった訴訟はこれから増えてくることが想定されるし、日本でも、環境問題は人権問題というような意見が、今後、政府や企業に対しても出てくる可能性があることを視野に、より強い対策を講じることが求められている。
目加田氏は、暑さによる健康被害を問題視していますが、これは極めて一面的な見方です。現実問題として、世界中において、暑さによる死よりも寒さによる死(凍死)の方が圧倒的に多いことが知られています。
昨年の地球の平均気温は観測史上最高だったが、日本では何の被害もなかった。寒さで死ぬ人は暑さで死ぬ人の9倍なので、温暖化で全世界の死者は減った。これを示したのがZhaoらのLancet論文で、世界の死者は温暖化で0.3%減った。これはIPCC