メディアの責任の矮小化
安田菜津紀氏:ジャニーズ事務所に対して具体的に何を求めていくのかはもちろん重要だが、私たちメディアを含めて、その土壌を生み出してきた側もどこまで膿を出し切れるのかが切実な課題だ。
ジャニー喜多川氏の性加害がトラウマになって精神的な治療を行っている被害者の方々にとってみれば、この問題は命に関わるものと推察しますが、安田氏はジャニーズ事務所に対して一刻も早く対処するよう求めることはありませんでした。
一方、安田氏は、「私たちメディアも含めて」とアリバイのように最後に付け加えた上で、日本社会という「土壌」の解明を「切実な課題」としています。杉田議員に対するスタンスとはまさに真逆です。
あえて、安田氏の論調に合わせて言えば、こういうメディアの責任の矮小化自体が「メディアの問題など考慮するに値しないんだ」という負のメッセージとして伝わっていくことになりますし、もっと言えば、一部のジャニーズのファンから差別やヘイトの矛先を向けられた被害者側の命を二の次扱いしていることにもなるかと思います。
極めて残酷なことに、テレビは性加害の被害者の存在を知っていて無視してきたのです。
個人ブログ「マスメディア報道のメソドロジー」にて、論理学や心理学の定義に基づいた、メディアの報道・政治家の議論における論理的誤謬などの問題点を指摘。「ひるおび」「報道ステーション」「NEWS23」「サンデーモーニング」などの具体的な放送内容や議員の答弁、記者の発言などを例示しての論理的な分析が話題を呼んでいる。記事の一部を言論プラットフォーム「アゴラ」にも転載中。