科学的常識が欠如した日本のマスメディア
薮中三十二氏:中国はやり過ぎだと思う。ただ、国際的に見てNYTとかを見ると、なんて書いてあるかというと「"radioactive water" 放射線の入った水を日本が出した」というのが表題だ。日本では「処理水」だが、世界的に見ると「放射線の入ったやつだ」と。報道では、中国のやり方を批判していないし、日本の中でもいろいろな反対意見があるという紹介だ。
NYTの記事のタイトルは「Japan Begins Releasing Treated Radioactive Water at Fukushima」です。つまり「日本は、放射性の水を処理したものを放出し始めた」です。
記事を読むと「IAEAは恐れるに当たらないと発表した」と紹介しているように、ことさら不安を煽るものではありません。薮中氏は、この記事の表題を基に日本国民をミスリードして不安を煽ると同時に、中国共産党の行為が【模型の虚偽】によって正当化されているかのような印象を植え付けています。
元村有希子氏:この計画に関してはリスクをゼロにはできない。トリチウムという放射性物質を少しでも含まれている水を海に流すわけですから。本当はどこまでのリスクが許容できるかを皆で模索する作業になるはずだが、結果として政府の説明も東電の説明が足りずに不信の中でのスタートとなった。中国の反応も外交力の欠如の結果だ。
この言説は、環境リスクに対処する環境基準の考え方を全く理解していないゼロリスク追求に他なりません。
そもそも海洋放出する前の段階でWHO飲料水基準の7分の1未満に薄めた安全な水をさらに無尽蔵に存在する海水で薄めるというプロジェクトに対して、現在の世界が許容しているリスク以上のリスクは存在しません。
まさに日本のマスメディアの科学的常識の欠如が風評を生んだ事案であると言えます。
加えて、政府と東電は丁寧かつ完璧に処理水の安全性を説明しましたが、それを十分に説明しなかったのは、公共の電波を独占的に使用しているテレビ、および軽減税率で社会的に優遇されている新聞です。
「説明が足りずに不信のスタート」というのは、公共財としてのマスメディアの責任を完全に放棄した逆ギレ発言です。
中国の反応は、中国共産党のイチャモンであって、事案の政治利用に過ぎません。この非科学的な嫌がらせ行為を日本政府の「外交力の欠如」などと表現するのは、理不尽に中国共産党を擁護する主張と言えます。ちなみに元村氏が所属する毎日新聞は、中国共産党から巨額の広告費を受け取っていることが指摘されています。