昭和天皇のお考えを勝手に解釈
元外交官の松田道一の「御進講メモ」をもとに番組は展開されたが、昭和天皇が御進講に対し何かをおっしゃっていなくても昭和天皇のお考えを勝手に解釈。加藤陽子、古川隆久、吉田裕各氏が解説をしたが、吉田裕氏は昭和天皇が戦争を主導したかのような主張を繰り返した。
特に、ドイツの降伏後に御進講を受けた昭和天皇のお考えを勝手に解釈した上で、「(占領国による)直接軍政になるかもしれない。日本も同じ扱いを受けるかもしれない。天皇制の存続も危ういかもしれない。切迫した状況の中で苦悩している」と解説したが、実際にはそうでないことは明らかである。
昭和天皇は御身のことは考えず、戦後のマッカーサーとの初会談で「私の一身はどうなろうと構わない」とおっしゃっている。これは当時の藤田尚徳侍従長の回顧録に記されている。
一部の人たちは、「藤田は直接会談に立ち会っておらず、あくまで伝聞で信憑性は低い」などと述べているが、日米双方からこの昭和天皇のお言葉について複数言及があり、「信憑性が低い」という主張はあてはまらず、吉田裕氏のように意図的なものを感じる。
そして、NHKはこのような番組作りを続けていれば、国民の信頼を失い、その存続すら危うくなるであろう。それは、この先、放送波の大改革が行われようとしており、ネット放送局を含めた競争になるからである。
受信料を投入、NHK役員の天下り先
現在、自民党の情報通信戦略調査会等で、インターネット時代の公共放送のあり方について議論が行われている。NHKのスリム化や受信料制度のあり方、ガバナンスについて、かなり突っ込んだ議論をしている。党内の中堅若手の議員は、放送波の大改革を必ずやり遂げなくてはならないと考えている人たちが増え、強い意志をもっている。
それは、将来の我が国における通信の発展を考えた際、周波数が枯渇するため、放送局が既得権として囲い込んでいる周波数を開放させなければ、日本は通信の発展どころか欧米にさらに差をつけられ、取り返しのつかないことになってしまうという危機感である。
私はNHKをインターネットに本格進出させる代わりに、テレビは1波、BSは1波+将来的な技術発展のため8K放送の計2波とすべきであると考える。災害時等の緊急時における放送波を最低限確保した上で、Eテレなどはネット配信すればよい。民放についても同様の検討をしていかなくてはならないと考える。
放送衛星についても厳しく見ていかなくてはならない。放送衛星「B-SAT」を保有している株式会社放送衛星システムは、NHKが株式の49.9%を出資保有しており、現社長はNHKの専務理事が天下りしている。さらにNHKから年間16億円の売上収入を得ており、国民の受信料が流れている。
しかし、衛星は放送用単独である必要は決してなく、欧州の先端企業が打ち上げている衛星は通信・放送共用であり、我が国においても純民間資本でスカパーJSATが運用している「JCSAT」も通信・放送共用衛星である。
すでに純民間資本で通信・放送共用衛星が打ち上げられ運用されているなかで、受信料を投入し放送用単独の衛星を後継機として今後打ち上げるのかという論点が出てくる。純民間資本であるスカパーJSATは引き続き通信・放送衛星で打ち上げる方針を示しており、こうした衛星を活用すれば、受信料が投入されNHK役員の天下り先となっている株式会社衛星放送システムの役割も終了させることができる。