1子あたり1000万円給付
6月1日、松戸市のほっとるーむ八柱を視察した岸田総理
私が提唱している一子あたり1000万円給付は、4月にテレビ中継があった参院決算委員会で質問したところ、その後大きな反響を頂き、情報番組などでも取り上げられた。思い切った児童手当の増額は、抜本的な少子化からの転換に必要なことであり、1子あたり1000万円給付か、同額以上となる月額6万円×15年間給付を実現すべきである。これくらいのことをやらなければ、若いうちから子供を産み育てようという意識への転換は生まれない。
そして、今回の戦略方針案では、慎重に考えなくてはならない点もある。それは出産費用の保険適用に向けた検討である。私は不妊治療の保険適用を推進してきたので、出産を行う産婦人科クリニックの先生方と日常的に意見交換をしているが、出産費用の保険適用については慎重な意見が多い。
東京では家賃や人件費が高いため、私立のクリニックでは出産費用に約90万円かかる。保険適用で日本全国一律で出産費用は60万円となった時に、残りの30万を「差額ベッド代」などの名目で、妊産婦の方から負担して頂ける制度にできるのかどうか。
我が国では禁止されている「混合診療」になるから追加の負担は求められないということになれば、赤字になって閉院してしまう産婦人科が相次ぐことも考えられ、そうすると東京で「出産難民」が生まれることになり、少子化対策のためにと打った施策が逆に少子化に繋がるという本末転倒にもなりかねない。
今回の戦略方針案がこのまま決定されるということになれば、早晩追加の施策が必要になると思う。3年後には再び「異次元の少子化対策」を策定することになろう。その時はもう「異次元」と用語は使えないだろうから、「宇宙次元」とでも言うのだろうか。
いずれにしても真に抜本的な対策を考えなければ少子化対策は止まらない。財源は国債発行で賄える。少子化対策予算を財源論で抑えることなく進めていかねばならぬ。