世論調査ではわからない岩盤保守層の自民党離れ|和田政宗

世論調査ではわからない岩盤保守層の自民党離れ|和田政宗

岸田内閣の支持率や自民党への支持が高いことから、夏の参議院議員選挙で「楽勝ムード」も漂っていると指摘されるが、本当にそうなのか。SNSの動向や全国各地での意見交換から感じるのは、自民党にとって極めて厳しい戦いになるということだ――。


安倍・菅政権にあって岸田政権にないもの

Getty logo

これらの分析からは、自民が「60議席を超える勢い」などと楽観視することは全くできず、場合によって50議席を割る惨敗に終わる可能性もあると考える。それは自民党に所属する議員として、絶対に避けなくてはならない。

これまでは自民支持で今回は自民に投票しないとする層は、岸田政権のどこに不満を持っているのか。それは、実行力である。「岸田政権は結局何もやっていない」という声は多く聞く。安倍政権におけるアベノミクス、菅政権におけるデジタル化や携帯電話料金値下げ、重要土地利用規制法の成立のように、目に見える実績が岸田政権には無いとの声が上がっている。

安倍政権、菅政権は「外科的手術」をする政権であり、それによって国民の一部から反発を買い支持が下がったとしても、「こうした実績がある」ということをもとに、支持率の回復が見込めたし実際にそうであった。一方、岸田政権は高い支持率が下落した場合、反転できるのか。

この下落が選挙戦で起きてしまったらこんなに恐ろしいことはない。参院選前は60%越えの支持率だったのに、投開票日当日には30%などとなったら目も当てられない結果となる。

例えば国民は、新型コロナを感染症法上の2類相当以上から5類相当並みとすることなど、感染防止対策を取りながら社会と経済活動の全面再開を期待している。もう新型コロナの状況は、それだけの水準に十分になっている。そして、GoToトラベルの再開もそうであるし、さらなる補正予算の策定も望まれている。

憲法改正はどうするのか。私は国民の命を守るために、自民党の公約の第一に掲げるべきであると考えるが、何番目となるのか。結局これも弱い打ち出しとなれば、岩盤保守層のさらなる離脱は避けられない。

今から選挙戦に突入するまでの2週間が勝負である。党の公約をはじめとして、どこまで国民の心をつかむことができるか。我が国にとってすべきことの実行を強く促したい。

月刊『Hanada』2022年7月号

¥ 950

完売御礼!増刷出来!

「嘘の新聞」と「煽るテレビ」 Kindle版

関連する投稿


旧安倍派の元議員が語る、イランがホルムズ海峡を封鎖できない理由|小笠原理恵

旧安倍派の元議員が語る、イランがホルムズ海峡を封鎖できない理由|小笠原理恵

イランとイスラエルは停戦合意をしたが、ホルムズ海峡封鎖という「最悪のシナリオ」は今後も残り続けるのだろうか。元衆議院議員の長尾たかし氏は次のような見解を示している。「イランはホルムズ海峡の封鎖ができない」。なぜなのか。


「ある意味、地獄が待ってます」退職自衛官を苦しめる若年給付金の返納ルール|小笠原理恵

「ある意味、地獄が待ってます」退職自衛官を苦しめる若年給付金の返納ルール|小笠原理恵

ある駐屯地で合言葉のように使われている言葉があるという。「また小笠原理恵に書かれるぞ!」。「書くな!」と恫喝されても、「自衛隊の悪口を言っている」などと誹謗中傷されても、私は、自衛隊の処遇改善を訴え続ける!


【我慢の限界!】トラックの荷台で隊員を運ぶ、自衛隊の時代錯誤|小笠原理恵

【我慢の限界!】トラックの荷台で隊員を運ぶ、自衛隊の時代錯誤|小笠原理恵

米軍では最も高価で大切な装備は“軍人そのもの”だ。しかし、日本はどうであろうか。訓練や災害派遣で、自衛隊員たちは未だに荷物と一緒にトラックの荷台に乗せられている――。こんなことを一体、いつまで続けるつもりなのか。


自衛官の処遇改善、先送りにした石破総理の体たらく|小笠原理恵

自衛官の処遇改善、先送りにした石破総理の体たらく|小笠原理恵

「われわれは日本を守らなければならないが、日本はわれわれを守る必要がない」と日米安保条約に不満を漏らしたトランプ大統領。もし米国が「もう終わりだ」と日本に通告すれば、日米安保条約は通告から1年後に終了する……。日本よ、最悪の事態に備えよ!


自衛隊の特定秘密不正の多くは政令不備、いますぐ改正を!|小笠原理恵

自衛隊の特定秘密不正の多くは政令不備、いますぐ改正を!|小笠原理恵

潜水手当の不正受給、特定秘密の不正、食堂での不正飲食など、自衛隊に関する「不正」のニュースが流れるたびに、日本の国防は大丈夫かと心配になる。もちろん、不正をすれば処分は当然だ。だが、今回の「特定秘密不正」はそういう問題ではないのである。


最新の投稿


【今週のサンモニ】いつまでも進歩しない国家防衛思考|藤原かずえ

【今週のサンモニ】いつまでも進歩しない国家防衛思考|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。


教科書に載らない歴史|なべやかん

教科書に載らない歴史|なべやかん

大人気連載「なべやかん遺産」がシン・シリーズ突入! 芸能界屈指のコレクターであり、都市伝説、オカルト、スピリチュアルな話題が大好きな芸人・なべやかんが蒐集した選りすぐりの「怪」な話を紹介!


旧安倍派の元議員が語る、イランがホルムズ海峡を封鎖できない理由|小笠原理恵

旧安倍派の元議員が語る、イランがホルムズ海峡を封鎖できない理由|小笠原理恵

イランとイスラエルは停戦合意をしたが、ホルムズ海峡封鎖という「最悪のシナリオ」は今後も残り続けるのだろうか。元衆議院議員の長尾たかし氏は次のような見解を示している。「イランはホルムズ海峡の封鎖ができない」。なぜなのか。


「医療の壁」を幸齢党がぶっ壊す!|和田秀樹

「医療の壁」を幸齢党がぶっ壊す!|和田秀樹

高齢者のインフルエンサーと呼ばれ、ベストセラーを次々と出してきた和田秀樹氏が「幸齢党」を立ち上げた。 なぜ、いま新党を立ち上げたのか。 「Hanadaプラス」限定の特別寄稿!


【今週のサンモニ】バンカーバスターは何を破壊したのか|藤原かずえ

【今週のサンモニ】バンカーバスターは何を破壊したのか|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。