金正恩激やせと中国の韓国傾斜の謎|重村智計

金正恩激やせと中国の韓国傾斜の謎|重村智計

北朝鮮の建国記念日である9月9日、式典に現れた金正恩総書記の姿に世界が仰天した。激やせしており、アメリカのテレビ局までこの事を報じた。「影武者ではないか」との噂が世界中で走っているが……。


信頼度の低い韓国メディア

「韓国メディアの信頼度は低い」

この記事は、日本の新聞や月刊『Hanada』が伝えたものではない。英オックスフォード大学のロイター・ジャーナリズム研究所が先進国を中心に46カ国・地域で行った信頼度調査の結果で、韓国は38位だったのだ。ちなみに日本は22位で、トップはフィンランドだった。

ちなみに2020年の調査では韓国は40位(信頼度21%)で、この年までは四年連続で最下位だった。今回は少しだけ順位をあげたことになる。

日本では、韓国のメディアの評価がかなり高いが、韓国民は信用していないのだ。

韓国の記者は、日本と比較にならないほど社会的地位が高かったが、いい加減な記事や事実と違う記事が報じられていた。特に北朝鮮に関する記事は危なくて使えなかった。だが誤報でも一般の市民には対抗手段がなく、不信と怒りを募らせる一方だったのだ。

政権批判が難しいという韓国的事情もある。保守政権であれ、左翼政権であれ、抵抗する新聞社の社長を逮捕し、税務調査でいじめるからだ。

また、経済記者は企業社長を取材する際はいつも現金の「寸志」を手渡された。警察署長も盆暮には警察取材のサツ回り記者に「寸志」を配った。貧しい時代の風習だったのだ。そのため新聞社や記者の「モラル」が疑問視され続けていた。そして多くの新聞記者が政治家に転じ出世していく姿を見れば、読者の信頼が崩れるのも当然なのだ。

だから元”徴用工”裁判や従軍慰安婦報道も読者に信頼されているわけではない。韓国与党が政権批判を封じるために推進する「言論規制法」をメディアや国際社会は非難しているが、韓国民の批判があまり盛り上がらない理由はここにある。つまり、そもそも信頼していないメディアだから、規制も何もない、と思っているのだ。

日本人記者は、韓国メディアの報道をそのまま書き写しているが、私たちの時代は韓国メディアの記事をそのまま引用したら騙されるから、「必ず3か所に確認するように」と韓国人記者から注意されたものだ。

メディア以上に信頼度が低いのが、韓国の世論調査だ。朝鮮日報の記事によると、韓国の世論調査会社は70社にも上り、それぞれが特定の候補となんらかのがりがある。なにせ同じ候補の支持率が、世論調査会社によって36%になったり23%になったりするのだから、読者から信用されないのも当然だろう。

文在寅大統領の与党は10月に大統領候補を決め、野党は11月に党大会開催の予定だ。いまの状況では、与党は京畿道の李在明知事が大統領候補になる勢いだ。

もし李在明氏が大統領に当選すれば文大統領は逮捕される、と韓国政界では語られている。また李氏は激しい反日主張で人気を得ているから、日韓関係は最悪になり、事実上の「国交断絶」状態になるだろう。

金正恩総書記の影武者騒動

(写真提供/KNS/KCNA/AFP/アフロ)

9月9日は北朝鮮の建国記念日だった。その式典に現れた金正恩総書記の姿に世界が仰天した。アメリカのテレビ局まで「激痩せ」を報じた。

報道の裏には「いま姿を見せている金正恩は影武者ではないか」との思いがある。この思いは在日コリアンと平壌市民も抱えていた。知人の在日コリアンも「長い間、金正恩総書記を見てきたが、以前の人物と違う」と断定し、こう言った。

「今度の金正恩総書記の方がイケメンで、凛々しく顔にも品があり指導者らしい。前の総書記は、ブクブク太って威厳も品もなかった」

平壌でも噂が広がった。これを打ち消すために当局は「ご心労でおやつれになって、心配だ」との市民の声をテレビ流した。

だが、金総書記が会議を主催した場合は、必ず「指導なさいました」の言葉が使われたのに、いまや「司会なさいました」「参加なさいました」との言葉に変わった。たとえ影武者であっても、総書記でない人物に対しては「指導なさいました」とは使えないからだ。

敏感な市民はおかしいと感じてている。

内部情報だが、2021年6月頃までに北朝鮮の軍団と師団の司令官の70%が交代し、若返りが図られたという。クーデタ未遂などの大事件があったと観測された。その後、軍の新任の指揮官を教育する大会が初めて行われ、さらに軍の元老を集めた「老兵大会」も開かれた。一連の大人事移動と元老の活用によって軍の安定が図られた、との分析が出ているが、なお状況は不安定との見方がある。

関連する投稿


米で「慰安婦≠性奴隷」論文を削除|西岡力

米で「慰安婦≠性奴隷」論文を削除|西岡力

米国に拠点を置く国際問題専門ネット雑誌が、戦時中の慰安婦は性奴隷でなかったと主張する韓国人学者の論文をいったん掲載しながら、すぐに削除して謝罪し、性奴隷説に立つ別の学者の論文を掲載した。米ハーバード大学のラムザイヤー教授が学術誌の論文撤回を要求された出来事に続いて、慰安婦に関する今年2度目の学問の自由の侵害事件だ。


誰が大統領になっても程遠い韓国の法治回復|西岡力

誰が大統領になっても程遠い韓国の法治回復|西岡力

私は、文在寅政権の法治破壊を引き継ぐ与党候補は論外だが、野党候補に法治回復への期待をかけていた。しかし、今回決まった野党の候補を見て、私は韓国の法治は回復しないとため息をつかざるを得なかった。法治主義が機能していないという事実を前提に距離を置いて付き合うしかない。


韓国を揺るがす北京の影響力|クライブ・ハミルトン

韓国を揺るがす北京の影響力|クライブ・ハミルトン

禁断の書として世界各国で出版停止が相次いだ衝撃作。日本でも6万部を突破したベストセラー『目に見えぬ侵略 中国のオーストラリア支配計画』と『見えない手 中国共産党は世界をどう作り変えるか』を徹底的に分かり易く解説した『「目に見えぬ侵略」「見えない手」副読本』(すべて飛鳥新社刊)が、遂に韓国語で11月中旬に発売!ハミルトン教授による韓国語版の序文を掲載する!


福山哲郎よ、利いた風な口を叩くな|九段靖之介

福山哲郎よ、利いた風な口を叩くな|九段靖之介

文在寅と福山哲郎。この二人は心性においてなにやら似通っている。口を拭って反省の言葉もなく、菅義偉政権の苦渋の処理水処分について、利いた風な批判を言う資格があるのか。たまには胸に手を当てて自省してみよ。


なぜ福島県は韓国に抗議しなかったのか|渡辺康平

なぜ福島県は韓国に抗議しなかったのか|渡辺康平

「原発事故と福島」は情報戦である。「正しい情報を発信すればわかってくれる」という相手の善意を基本とした風評対策では、中国や韓国の悪意あるプロパガンダには太刀打ちできない。国と県が連携して、相手国内において積極的なロビー活動やPR活動を展開すべきである。


最新の投稿


参院選も「立憲共産党」なら、自民は危ない!|和田政宗

参院選も「立憲共産党」なら、自民は危ない!|和田政宗

「日本の政治を変える道は野党共闘しかない」と豪語する日本共産党の志位和夫委員長。この発言を「往生際が悪い」という一言で片づけていいのだろうか。昨年の衆院選では「立憲共産党」と揶揄され、立憲民主党、共産党ともに議席を減らしたが、野党共闘は本当に失敗だったのか。(写真提供/時事)


【読書亡羊】米議会襲撃事件の裏と日米の政治家の差 ボブ・ウッドワード、ロバート・コスタ『PERIL 危機』(日本経済新聞出版社)

【読書亡羊】米議会襲撃事件の裏と日米の政治家の差 ボブ・ウッドワード、ロバート・コスタ『PERIL 危機』(日本経済新聞出版社)

その昔、読書にかまけて羊を逃がしたものがいるという。転じて「読書亡羊」は「重要なことを忘れて、他のことに夢中になること」を指す四字熟語になった。だが時に仕事を放り出してでも、読むべき本がある。元月刊『Hanada』編集部員のライター・梶原がお送りする週末書評!


日本に必要な攻撃能力の構築|島田洋一

日本に必要な攻撃能力の構築|島田洋一

日本は専守防衛の枠を捨て、日本を攻撃すれば自らの司令系統中枢も破壊されると思わせるだけの、小規模ながら残存性の高い抑止力を構築していかねばならない。同じ発想に立つ英国を、誰も「無責任な軍国主義国家」とは呼ばない。


岸田首相は世界に貢献する責任を果たせ|櫻井よしこ

岸田首相は世界に貢献する責任を果たせ|櫻井よしこ

国益に関わる重要事であっても、摩擦を起こしかねない案件には一切手をつけず、7月の選挙を乗り切りたい、政権の長寿を実現したい、というのが岸田首相の考え方か。有事のいま、それは間違いだ。


一票に格差があってどこが悪い!|深澤成壽

一票に格差があってどこが悪い!|深澤成壽

選挙の度に問題となっている「一票の格差」。昨年10月の参院選もこれをもって違憲だとする訴訟が各地で相次いでいる。しかし、本当に「一票の格差」は問題なのか? 改めて考え直してみると……。(初出:2013年5月号)(本稿は著者の考えに基づき、旧仮名遣いとなっています)