弁護士からの書面に愕然
それが、忘れもしない7月31日。突然、妻の代理人を名乗る弁護士から書面が届きました。
書面には、「婚姻関係が破綻したのは、貴殿が暴言や妻を何時間にもわたって責め続けたことが理由であり、貴殿は慰謝料を払う必要がある」などと書かれていました。そして、それっきり妻とは連絡が取れなくなり、子どもにも会えなくなったのです。
書面に書かれた「慰謝料」に、愕然としました。喧嘩はしていましたが、私は妻に暴言を吐いたことも、暴力を振るったこともありません。そもそも、そんなに恐ろしい相手なら、なぜ別居してからも子どもを連れて私に会いに来ていたのでしょうか。辻褄が合いません。
子どもを連れ去られてから、およそ2週間。なんとか関係修復を試みようとしていた私の努力は何だったのか。それに付き合っているふりをして、裏で弁護士に頼み、着々と離婚に向けて動いていたのか。あまりの非人道的なやり方に人間不信になりました。
いや、ここで妻の振る舞いを糾弾したいわけではないのです。私の怒りは、妻に子どもの連れ去りを示唆した弁護士、私の言い分を一切、聞いてくれなかった裁判官に向いています。そして、子どもの連れ去りが罪にはならず、連れ去ったことで楽に親権を得ることができ、「連れ去り勝ち」になってしまう現状の法制度に対しても。妻はむしろ、弁護士の口車に乗せられた被害者だと思っています。
家庭裁判所への不信感
妻の代理人から書面が届いたことで、私も弁護士を探し、代理人を立てました。そして、まずは子どもと会えない現状を何とかしたいと、面会交流調停と子の監護者の指定調停を申し立てました。
妻がそこに離婚調停をつけてきました。4回ほど調停に臨みましたが、結局、2019年の暮れ、調停は不成立に終わりました。監護権の指定については、裁判官によって「監護の現状が妻にあり、それを変更する理由がない」として却下されました。
調停をしている間、精神的にはつらかったですが、闘うエネルギーは残っており、なんとか対局はこなしていました。というのも、このころはまだ、裁判所は公正な判断をしてくれる場所だと信じていたからです。
妻は私のDVを主張しているが、私は何も悪いことをしていない。こちらの言い分を正直に話せば、少なくとも話くらいは聞いてくれるものだと思っていました。ところが、現実はそうではなかった。子どもを連れ去り、監護(養育)の実態が妻にあるという時点で、勝負はもう決まっていたのです。
別居・離婚に際して、子どもの親権をもちたかったら、まずは子どもを連れて家を出るか、相手を家から追い出す。子どもと同居して、監護をしているという実態さえ先につくってしまえば親権はもてる。たとえ不倫やDVをして家庭を壊した親でも、です。
そして恐ろしいことに、連れ去りは無罪ですが、連れ戻しは「未成年者略取誘拐罪」が適用されます。連れ去られて連れ戻せば、逮捕されてしまうのです。これがいまの日本の裁判所のルールです。
信じられますか。こんなことが現実に罷り通っているのです。普通の人は知りません。私も連れ去り被害者になるまで、まったく知りませんでした。