「日本の宝」が中国に奪われている!
JR東海のリニア新幹線に携わる約30人の日本人技術者が引き抜かれた――そんな驚愕の事実を書いたのは、産経新聞特別記者で国家基本問題研究所主任研究員の湯浅博氏。
現在絶賛発売中の月刊『Hanada』2020年10月号に掲載された「自制が効かない『手負いの龍』習近平」で、湯浅氏は増長し続ける「手負いの龍」中国とアメリカの対決を、ポンペオ演説などから分析、解読していますが、その中にこういった記述があります。
レイFBI長官も、中国は技術革新への努力の積み重ねを省略して、「アメリカ企業から知的財産を盗み出し、その被害者となった企業と対抗する」と指摘する。
優秀な人材を海外から好待遇で集める「千人計画」を使って科学者を誘惑し、アメリカの知識や技術を本国に持ち帰らせようとする。
中国はたとえ機密情報の窃盗や輸出規制の対象であったとしても、手段を選ばない。盗み出した技術を駆使して製品を世界に売り込み、その技術を生み出したアメリカ企業を廃業に追い込んで市場を奪取するというえげつなさだ。
そうした例は、残念ながら日本でも散見される。日本の新幹線技術という知的財産を中国が入手し、これをそっくりマネして「中国固有の技術だ」と偽って世界に売り込んだことはよく知られている。
いま再び、JR東海のリニア新幹線に携わる一チーム約三十人の日本人技術者を高額で引き抜き、「中国製」と称するリニア新幹線を開発中だ。これらリニアの超電動、電磁技術は、そのまま軍事技術に転用が可能だという。
研究所の企画委員、太田文雄元海将によると、これらの技術が安価で連続発射可能なレールガン(電磁加速砲)や空母の電磁式カタパルト(航空機射出装置)に利用できる。やがて、そうした高度技術の兵器が日本列島に向けられる日がやってくる。
そもそも、JR東海は中国への「技術提供」を拒んできた企業です。
2004年、川崎重工が中国鉄道省と東北新幹線「はやて」型車両の技術供与契約を結びました。しかし、この川崎重工による中国への新幹線技術の売り込みに反対してきたのが、JR東海現名誉会長の葛西敬之氏でした。
葛西氏は「中国に新幹線のような最先端技術を売ることは、国を売るようなものだ」とまで言って猛反対したたものの、川崎重工は耳を貸しませんでした。
この葛西氏の予言は的中。2011年、中国は川崎重工から技術提供を受けて開発した中国版の新幹線を「独自開発」と主張し、米国など複数の国で特許申請をしたのです。
『目に見えぬ侵略』(小社刊)の著者クライブ・ハミルトン氏に言わせると、財界エリートたちは無意識のうちに外国の主人に忠誠を尽くす行動をとることになり、「オーストラリアの主権を内側から侵食している」のですが、湯浅氏も《それは日本の経済人にもみられる傾向で、彼らは「誰よりも中国を知っている」と思い込み、政治や価値観の違いを差しはさむことを許さない》と指摘しています。
しかし、葛西氏のように、新幹線技術転用を拒否し、反対したJR東海のリニア新幹線に携わる技術者が高額で中国へと引き抜かれてしまう事実が判明。
中国の巨大市場は無視できないとしても、目先の経済利益のために、どんなに国益を喪失していることか。またチャイナマネーの恐ろしさがよくわかります。
ぜひ本誌で記事全文をご一読ください!