周辺国を「巻き込む」のが朝鮮半島の伝統
朝鮮民族の内ゲバは、実は、周辺国のわれわれにとって他人事ではない。朝鮮半島の歴史を見ていると、自分たちの内紛あるいは内戦に、周辺国や他民族を巻き込むのはむしろ半島民族に一貫した習性である。遠い昔の古代史上、日本が朝鮮半島の戦争に巻き込まれて「白村江の戦い」で大敗を喫した例があるが、この戦いにおいて日本軍を打ち破った中国の唐王朝も実は、半島における新羅と百済の内戦に巻き込まれた立場だった。
そして近・現代史上、朝鮮半島で起きた最大かつもっとも壮絶な戦争は1950年代の朝鮮戦争であるが、金日成が起こし、李承晩が拡大したこの同じ民族同士の戦争に、結局は米中両大国が巻き込まれ、莫大な犠牲を払って、朝鮮のために戦うこととなった。
このように半島の人々が何らかの内紛を展開していく際には、周辺国を含めた諸外国を自分たちの起こしたトラブルに巻き込むことを決して忘れない。そしてその都度、彼らの巻き込みによって、周辺国と民族は多大な被害を受けることになるのだ。
もちろん現在でも、朝鮮民族はこの「巻き込み」の伝統をきちんと受け継いでいる。例えば北朝鮮の金正恩労働党委員長は、トランプ大統領との首脳会談を決めておいてから、中国にも電撃訪問して習近平国家主席を味方につけて米国を牽制する鮮やかな外交を展開し、世界をあっといわせたが、これでかつての朝鮮戦争の時と同じように、米中両大国が「朝鮮問題」にうまく巻き込まれ、金正恩のてのひらの上で踊る格好となった。米中両国は今後、どれほど大きなコストを払っていくことになるだろうか。
こうして見ると、今になっても王朝時代の前近代的体質をひきずりながら内部の権力闘争や内紛に明け暮れ、時に周辺諸国をその内輪もめに巻き込んでいくのは、まさに朝鮮半島の国々と朝鮮民族の不変の習性と行動パターンであることが分かる。問題は、われわれ周辺国が今後、このような迷惑千万の半島民族とどうやって付き合い、彼らの起こすトラブルにどう対処していくべきか、という点である。
内ゲバと巻き込みがお好きな彼らの正体と本質をきちんと把握せずに、彼らの起こすトラブルに迂闊に巻き込まれていたら、大きな災いが降ってくる。特に今、北朝鮮が核兵器を保有し、われわれ周辺国に多大な脅威を与える一方、韓国が慰安婦問題を利用して世界規模の歴史戦に日本を巻き込みつつ、北朝鮮の核保有に手を貸そうとしている状況下で、半島問題の本質と半島民族との付き合い方を真剣に考えておくことほど、われわれにとって喫緊の問題はない。半島の歴史と半島民族の習性をきちんと見極めた上で、半島との関係性を根本から見直すべき時は、まさに今であろう。
「できるなら、朝鮮半島と関わらないことに越したことはない!」
このような時期における本書の出版は、まさに時宜を得たものであるが、この本を一言で要約すれば、元中国人でいま日本人になった筆者が、「中国」と「日本」という2つの視線から、朝鮮半島の歴史と半島問題の本質についての長年の考察を集大成して1冊にまとめ、上梓したものである。
そして「石平の朝鮮問題考察の決定版」というべき本書の意図は、まさに上述の問題意識から出発して、「抜けられない前近代」、「止むことのない民族同士の内ゲバ」、「習性となった周辺国の巻き込み」という3つの側面から、朝鮮民族の恐ろしい民族性と行動パターンに対する綿密な考察と解明を行い、いつでも降りかかってくる可能性の高い「半島の災い」に対して、真剣な警告を発することである。
「できるなら、朝鮮半島と関わらないことに越したことはない!」、それこそが本書の出した最終的な結論であり、朝鮮半島の歴史をつぶさに考察した筆者の心からの叫びでもある。
このような「極論」としての結論に至るまで、私は朝鮮半島の歴史に対して、どんな考究をしたのか。それこそ筆者がこれから本書の中で、鮮明かつリアルに記していくべきものであり、読者の皆様はきっと読み進めるうち、驚きと知的な愉しみを見出していただけると確信している。
本書を手にとっていただいた読者の皆様に心からの御礼を申し上げる。
平成30年初春 大阪市阿倍野区界隈、独居庵にて 石平