平戸市長室、朝日新聞購読をやめました!|黒田成彦

平戸市長室、朝日新聞購読をやめました!|黒田成彦

市長室での朝日新聞の購読を辞めたのは、2014年9月の朝日新聞の木村伊量社長による謝罪会見が最大の理由でした。


「朝日辞めた」に大反響

〈平戸市長室では朝日新聞の購読を辞めた。そして私はその報道姿勢を非難する立場をツイッターで表明している。これに対して「市長は公平公正であるべき」という声もあるが、誤報を垂れ流す広報媒体を排除することが公的立場にあると信じている〉

2017年11月28日未明にツイッターに投稿したこの呟きが見る見るうちに拡散され、10日も経たずに8000件近いリツイート、1万2000件以上も「いいね」される状況になりました。その現象を産経新聞が記事で取り上げてくれたこともあり、フォロワー数も数日間で約1万人増。反響に驚くとともに、寄せられるコメントのほとんどが私の投稿を支持する内容ばかりで、「みな同じ思いだったのだな」と心強く感じています。

市長室での朝日新聞の購読を辞めたのは、2014年9月の朝日新聞の木村伊量社長による謝罪会見が最大の理由でした。同年8月5日、6日に、30年以上も撤回せずにきた慰安婦問題の誤報について大きな紙面で掲載し、翌月、この記者会見に至りましたが、慰安婦問題について木村社長は、吉田調書報道撤回の弁明の「ついで」のような形で言及した程度。この模様を見て、「これはもうどうしようもない新聞だ」と愛想を尽かし、翌10月から購読を打ち切ったのです。

当時もその旨をツイートしましたが、フォロワー数が1000にも満たない程度だったせいもあってか、ほとんど拡散されませんでした。今回、小川榮太郎さんの『徹底検証「森友・加計事件」──朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪』(飛鳥新社)を読み、朝日新聞についての私のスタンスを改めてツイートする意味もあろうと発信したところ、このような大反響になったというわけです。

これは何より、「朝日新聞に対する不信が極まっている」ことの証左でしょう。一方で、なかなか廃刊に至らない不思議さも残っていますが(笑)。

反響はツイッター上だけではありません。市役所ホームページから投稿できる「市長へのご意見箱」のメールボックスには、12月5日までの間に57通のご意見が寄せられました。支持が54通、批判が3通。これ以外に封書1通、はがき2通が寄せられていますが、いずれも「よく言った。頑張ってください」という好意的な応援の声でした。 「よく言った」というのは、裏を返せば、「市長という立場にある人間が、朝日新聞を名指しして批判するのは珍しい」 「言いづらいことを、よくぞ言ってくれた」という思いの表れなのかもしれません。思想信条を明らかにしてこそ政治家だというのが私の考えですから、今後も随時発信していきたいと思っています。

私は普段から記者の質問に対してはもちろん、地域の行事やイベントに顔を出す際も、自分の意見ははっきり述べていますし、時にはギターを抱えての弾き語りまで披露していますから、平戸市の有権者は私がどういう性格かはよくわかっていると思います。

また、市長室での購読を打ち切ったからといって、朝日の記者との関係に影響は出ていません。地元では朝日新聞を含む記者の方々と毎月懇談の場を設けており、例のツイート後の12月1日にも開催しましたが、朝日新聞の記者から何か言われることはありませんでした。朝日の購読を止めてから3年経ちますが、地元の記者の方とは粛々と、紳士的な関係を築いています。

「ネトウヨ市長」と呼ばれて

実は、私は今回のツイートが話題になる前から、一部で「ネトウヨ市長」などと呼ばれていました。原因の1つは、2016年3月、例の「保育園落ちた日本死ね!!!」が話題になった際に、ツイッター上でこのように発信したことにありました。

〈「保育所落ちた」お母さんたちは保育所定員に余裕のある田舎に引っ越してもらうわけにはいかないのかなぁ。活躍してもらう場所もたくさんあるけど。住みにくい都会よりも居心地いいと思いますよ。でもご主人の仕事とか簡単に都会を離れられない理由があるんでしょうね。日本の田舎は結構いいですよ〉

子育てと仕事の両立に悩むお母さん方への1つの提案だったのですが、この内容が「母親の敵」などと批判されるに至りました。

もう1つは都知事選について。

〈小池さんの当確は想定内。あとは桜井誠さんが何位に食い込むかでこの国が変わる〉

私は桜井さんについて詳しくはないのですが、在特会の会長として、時に暴力的、差別的なデモを行っていた点については批判もあるでしょうし、行き過ぎもあったでしょう。ただ、都知事選における街頭演説の内容はなかなか感動的だったのです。そこでこのように呟いたのが決定的だったようで、「ヘイト市長」 「レイシスト」 「ネトウヨ市長」という批判が寄せられました。

他にも一連の投稿内容から、私は「ネトウヨ市長」と評価されていましたので、ある時、友人や同窓会の後輩たちとの酒の席で「俺はネトウヨと言われている」と話しました。すると、「そう言われるくらいでいいんだよ。世の中がずっと左だったんだから、ちょっと右くらいじゃないとだめだ」という反応が返ってきた。そこで次のように呟いたのです。

〈今日の酔狂で一句。「ネトウヨ」と呼ばれるくらいが丁度いい そんなおおらかなわが国でありますように(⌒▽⌒)〉

「酔狂」に加え、末尾に笑顔の顔文字が入っているように、お酒の影響もあっての冗談です。ところが、これが大炎上。「不真面目」 「恥さらし」「撤回しろ」などのコメントがつきました。多様な意見を認めるおおらかな世の中がいいと書いたのに、逆に狭量な反応ばかりが寄せられた、というわけです。

朝日新聞に教えたい「都市間交流で大切なこと」

私が市長室での購読を辞めてから3年あまり。朝日新聞は社長交代にまで至ったのですから、「さすがに朝日も変わらざるを得ないだろう」と思っていたのですが、全く変わっていません。そのうちの1つが、自身が種を蒔いた慰安婦問題についてです。

サンフランシスコ市に民間が建てた慰安婦像と碑が寄贈されることになり、姉妹都市である大阪市は寄贈を受け入れないよう要請していました。ところが、サンフランシスコ市がこれを受け入れたため、大阪市が姉妹都市関係を解消すると宣言したのです。すると朝日新聞は2017年11月19日付の社説で、〈ちょっと待ってほしい〉〈市長の一存で断ち切ってよいものではない〉〈冷静さを欠いている〉と大阪市の決定を批判したのです。

たしかに、都市間交流は市にとって非常に重要です。外交は国家間だけで行われるのでなく、姉妹都市間でも行われ、行政側はもちろん、住民同士にも絆が生まれます。歴史のがりを基に学術交流でお互いにいい刺激を受けたり、子供たちを相手の都市に派遣して外国語研修を行ったりするなど、市民にとっても世界に目を啓くとてもいい機会を得られます。

平戸市でも、古くから東アジアとの都市間交流があります。2017年11月30日に台湾の台南市から鄭成功の銅像が平戸市に寄贈され、除幕式が行われました。鄭成功は近松門左衛門作の人形浄瑠璃『国姓爺合戦』のモデルでもある台湾の英雄で、清に滅ぼされようとしている明を擁護し、抵抗運動を続けて台湾に渡った偉人です。

鄭成功は平戸において、父で福建省出身の貿易商だった鄭芝龍と、日本人の母・田川マツの間に生まれました。つまり、台湾と福建省の英雄であると同時に、平戸にも深い縁があるのです。

ところが、私が市長になるまでは台湾との関係は民間交流に留まっていました。長崎県がかなり早い時期から中国・福建省と交流しており、中国の総領事館が置かれているため、反発を恐れたのです。私は長崎の県議会議員の頃から「台湾と公式に交流すべきだ」と言ってきましたが、「できません」 「中国総領事がいるので無理です」の一点張りで、取りつく島もありませんでした。

私は平戸市長になってすぐに台湾に行き、いまや鄭成功を縁に台南市と民間主導の市民交流促進協定を結んでいます。以前、長崎県は中国総領事から「台湾に行くな」 「日中国交を断絶する」 「総領事撤退だ」とまで言われたそうでトラウマになったのでしょうが、実際に台湾に行ってみれば誰も何も言ってこない。8年の在任中にすでに16回も渡台していますが、苦情1つありません。

4年前、鄭成功の生誕の地である平戸市川内町に記念館を作ることになり、これを機会に台南市と公式な友好交流の協定を結ぼうとした際には、さすがに中国総領事から圧力を受けました。そこで、書面上は民間の交流団体の長同士の提携の形でやり過ごしましたが、市民間交流は続いています。台湾の「青天白日旗」が台湾との交流記念行事で掲揚されるのは、県内でも平戸市だけではないでしょうか。

都市間交流は圧力があっても続けるだけの意味がありますが、それは互いの信頼関係があってこそ。せっかく銅像を建てるなら、平戸市と台南市のように、歴史上の縁を後世に伝え、市同士、住民同士の絆を深めるものであるべきです。

ところが、サンフランシスコ市が受け入れた慰安婦像、特にその碑文は「少女を含む数十万の女性が性奴隷として監禁され、大半が死亡した」というもので、これは朝日の誤報をはじめ、誤った情報に基づいた内容です。少なくとも、決して姉妹都市間の友好を深めるものではありません。

朝日も社説で指摘しているように、都市間交流は「人と人」の交流が原点で、何よりもお互いの信頼のうえで成り立っています。誤った情報で相手国の国益が損なわれると知りながら方針を曲げないということになれば、都市間にある友情はどこに立脚するのかという話になる。 「拒否権行使を強く望む」とまで求めた再三の要請を無下にされたのですから、信頼を裏切られたのは大阪市のほうです。姉妹都市提携解消は当然の結末と言っていいでしょう。

たった一部が拡げた波紋

大阪市とサンフランシスコ市の間にある問題は、朝日新聞にとって他人事ではないはず。朝日新聞に、大阪市の決断を〈冷静さを欠いている〉などと社説まで使って批判する資格があるでしょうか。

2014年8月の慰安婦報道検証でも、朝日新聞は自身の責任をしっかり受け止めているとは言い難い紙面に留まり、読者や国民に対する謝罪はありませんでした。あれから3年が経ちましたが、海外に広がった誤解について、自らの責任は全く感じていないようです。

朝日新聞に関する私のツイートが支持されるのも、ここに理由があるのでしょう。数で言えばたった一部、市長室での購読を辞めただけのことです。

しかし、そのことにこれだけの支持の声が上がるのは、「あの新聞は何かおかしいぞ」という沸々とした不満を多くの方が抱いていたからこそでしょう。朝日新聞に愛想を尽かしているのは、私だけではないのです。

(※当記事の見解、文責は、帰属する組織ではなく、政治家・黒田成彦個人によるものです)

(月刊『Hanada』2018年2月号掲載)

著者略歴

黒田成彦

https://hanada-plus.jp/articles/205

平戸市長。1960年8月、長崎県平戸市生まれ。麗澤大学英文科卒業後の1983年、参議院議員・下条進一郎の秘書。1985年、衆議院議員・金子原二郎氏の秘書。2002年2月、長崎県議会議員補欠選挙にて初当選、翌年4月、同県議会議員選挙で再選。2007年4月、合併後の平戸市選挙区から3期目の県議に当選。2009年10月、平戸市長選挙で当選し、現在3期目。著書に『平戸市はなぜ、ふるさと納税で日本一になれたのか?』(KADOKAWA)

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末永恵

末永恵

米国留学(米政府奨学金取得)後、産経新聞社入社。産経新聞東京本社外信部、経済部記者として経済産業省、外務省、農水省記者クラブなどに所属。その後、大阪大学特任准教授を務め、国際交流基金(Japan Foundation,外務省所管独立行政法人)の専門家派遣でマラヤ大学(客員教授)で教鞭、研究にも従事。 政治経済分野以外でも、タイガー・ウッズ、バリー・ボンズ、ピーター・ユベロス米大リーグコミッショナー、ダビ・フェレール、錦織圭などスポーツ分野の取材も行う。


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