話をドローンに戻そう。日本の防衛省は2018年2月、国内の米軍基地、専用施設の上空や周辺でドローンを飛行させないよう、「航空機の安全な航行を妨害した場合は、法令違反に当たる」と注意喚起するビラを各地の防衛局に張り出した。だが、現代の「ドローン戦争」を想定すると、あまりにも対応が生ぬるいと言うほかない。
現在の軍用ドローンは、たった1機で飛行場を壊滅させる破壊力を持つ。防衛省が多額の防衛費を投じて日本に配備する「陸上イージス」(陸上配備型ミサイル迎撃システム)でも対応できない可能性が高い。仮に低空を自律飛行可能なドローンを大量に製造できる国が、軍隊として「ドローン戦闘機部隊」を整備し、何千、何万ものドローンを戦争の相手国へ向かわせる戦術をとった場合、相手国は大打撃を被るだろう。
ドローン1374機の編隊飛行に成功した中国
2015年4月7日、アメリカ国防総省が発表した「中国の軍事力に関する年次報告書」には、「中国は2023年までに4万機以上の無人機を製造する」と記されている。あれから約4年半、中国のドローンの能力は格段に向上しており、2018年4月に中国は、ドローン1374機の編隊飛行に成功している。
人民解放軍がいま力を入れているのが「ロボットの群れ作戦」だ。中国の軍事作戦の特徴は、飽和作戦といって数の力で相手を制圧することを目的としたものが多い。たとえば強力なミサイルを開発するよりも、何千、何万発というミサイルを打ち込んだほうが勝率は高くなる。軍用ドローンが何千機と襲来した時、いまの日本には対処のしようがない。
2019年4月10日、中国は尖閣防衛識別圏に攻撃能力を搭載した無人偵察機「TYW-1」を配備した。「TYW-1」は約40時間の飛行が可能であり、かつ最大離陸重量は1500キログラム、総重量300キログラムのミサイルや爆弾を搭載することができるとされている。