膳場貴子氏:記録的猛暑となった2025年の夏。東京都心では、9月になっても3日連続の猛暑日、年間で28日と、最多記録を更新しています。(中略)
日本も温室効果ガス削減に取り組んでいるものの、発電量における化石燃料の割合は68.6%(資源エネルギー庁2023年度)と、依然として高い水準。この状況に国が力を入れているのが、再生可能エネルギーの促進。国の計画では太陽光発電の割合を、23年度の約1割から、40年度には最大3割に増やすとしています。
自然エネルギー財団 石田雅也研究局長(VTR):洋上風力だけでなく、陸上の風力でも、そもそもの市場がまだ広がっていないので、いろんなもののコストが高くなる。国が経済的な支援をしていかないと、事業者としては採算をとりにくい。
再エネは、基本的には民間でやる事業であると。それに対して原子力発電というのは国主導の発電事業。国の政策の支援の度合いというのも、差が出てきている。(中略)
原子力に関しては、どこにどれだけのお金がかかっているのか、ブラックボックスで見えないところがある。これからさらに廃炉を進めていかないといけない。さらにコストがかかる可能性がある。それに対して再エネは、(支援が)まだ全然足りない。
例えば、年間に数千億ぐらいの予算を何年かつけると、大分状況は変わると思う。
「再エネは支援がまだ全然足りない」とは何を言っているのでしょうか。
固定価格買い取り制度による再エネ買取総額は年々増加し、その年額は、数千億円どころか約5兆円です。政府は国民の支払いにより再エネに対して莫大な民間投資を行なっているのです。コストがかかる再エネに対して、これ以上、本格的に政府が取り組むなど、自傷行為に他なりません。
日本は再エネ導入量で世界6位の再エネ大国であり、太陽光発電に関して言えば、国土が狭量で砂漠も存在しないにも拘らず、米中に続いて世界3位の導入容量となっています。
各国の太陽光発電導入容量(2020年実績)