安田菜津紀氏:女性リーダーが長きにわたって民主主義の根幹にかかわるメッセージを出し続けたということは非常に意味があったと思うが、ただ為政者である以上、様々な批判を受ける立場だ。特に2008年、メルケル氏はイスラエルの議会でイスラエルの安全保障はドイツの首相として譲れないという発言をしていて、でもその年を含めて彼女の在任中にガザへの軍事侵攻は繰り返されてきた。それを軍事支援などで加担して来なかったか、自由の意味は本来何かということは、どうしても問われてくる点だ。
過去にメルケル氏を無批判に礼賛してきた『サンデーモーニング』において、メルケル氏をここまで批判したのは安田氏が最初でしょう。ドイツはユダヤ人虐殺の過去の贖罪のため、イスラエルに無批判で寄り添う政策をとってきました。
自由よりも贖罪を優先したメルケル氏に対して安田氏が問題視したことは価値あることです。安田氏は、弱者に対して一貫して寄り添う立場から『サンデーモーニング』の【沈黙の螺旋 die Theorie der Schweigespirale】を打破したのです。
いずれにしても、物事の批評において必要なのは論理的な態度であり、論理を欠いた倫理的評価は議論に値しません。

個人ブログ「マスメディア報道のメソドロジー」にて、論理学や心理学の定義に基づいた、メディアの報道・政治家の議論における論理的誤謬などの問題点を指摘。「ひるおび」「報道ステーション」「NEWS23」「サンデーモーニング」などの具体的な放送内容や議員の答弁、記者の発言などを例示しての論理的な分析が話題を呼んでいる。記事の一部を言論プラットフォーム「アゴラ」にも転載中。