コメ価格が高騰するなか、日本の消費者のためにも関税を引き下げるのが合理的であると考えます。もちろん、関税を引き下げると、そのダメージは日本の農家に及びます。その対策として、世界各国では農家に直接補助金を支払って保護します。
しかしながら、日本の場合にはそうはいきません。
日本の農政の場合には、政府から農家に直接補助金が支払われるのではなく、農協経由の農業振興という形で間接的に補助金が支払われているのです。ここに中間搾取の余地が生まれ、その農業振興のマネーの行き先がどこかといえば、農協と取引がある銀行、すなわち農林中央金庫ということになります。
というわけで、今回の農林中央金庫の米国債の売却は、農業補助金をめぐる日本の農政の利権構造が生んだ過去の補助金マネーであった可能性があり、その倫理的な可否はどうであれ、私たち日本国民の血税がめぐりにめぐって世界を救った可能性があるということなのです(笑)。
最も失敗した時代の愚策が再び……
さて、この日は『風をよむ』でもトランプ関税を特集しました。

「ルール崩壊する」トランプ関税“貿易鎖国”の危険性、専門家が指摘 国際社会に新たな火種か【サンデーモーニング】 | TBS NEWS DIG
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1851517?ホワイトハウスの大統領執務室に招かれたのは、ドジャースの大谷選手。メダルをプレゼントされました。アメリカ トランプ大統領「一つはご家族に」 ドジャース 大谷翔平選手「光栄です」アメリカ トランプ大統…
膳場貴子氏:トランプ関税で世界が右往左往する中、懸念されるのが「アメリカの孤立」や、国際社会の緊張が高まることへの不安。戦後80年、アメリカが主導してきた自由貿易体制が、今、岐路を迎えようとしています。
1920年代、第一次大戦で荒廃したヨーロッパに代わり、世界のリーダーに躍り出たアメリカは、空前の好景気に沸いていました。ところが1929年に発生したウォール街の株価暴落をきっかけに、世界経済は大不況に突入。アメリカは1930年、自国産業を守るために高い関税を課す「スムート・ホーレイ関税法」を成立。輸入品への平均関税は38.5%から59%(1932年)にまで上昇しました。これに対し、イギリスやフランスも、自国通貨を基軸とする、排他的な経済圏をつくって対抗。世界経済の「ブロック化」が進むことに。
当時、アジア進出を強める日本もまた、台湾や満州などで“円ブロック”を形成。その後、アメリカは、イギリス・中国・オランダとともに、いわゆる「ABCDライン」を形成し、石油供給の停止などによって、日本を経済封鎖します。
こうした「ブロック化」がもたらす対立が、第二次世界大戦の一因となりました。