要人警護のプロが語る、事件に巻き込まれない方法|小笠原理恵

要人警護のプロが語る、事件に巻き込まれない方法|小笠原理恵

1月22日、JR長野駅前でバスを待つ男女3人が相次いで刃物で殺傷された事件。死亡した49歳の男性は、司法解剖の結果、胸と背中の2カ所に刺し傷があり、死因は失血死。胸の刺し傷は心臓にまで達しており、抵抗の際につく傷や防御創がなかったことから、突然襲われた可能性が高いという。北九州のマクドナルド店内での中学生男女の殺傷事件など、昨今、凶悪な事件が立て続けに起きている。国際ボディーガード協会副長官でもある要人警護のプロ・小山内秀友氏に、事件に巻き込まれない対処方法を聞いた。


プロが語る、自分の身はこう守れ!

フランスの新聞「フィガロ」によると日本の強盗発生件数は他の主要国家と比較して低い水準にある。人口10万人当たりの米国の強盗発生件数は98.6件、イギリスは118.7件、フランスは44.3件、日本は1.2件だった。

強盗発生件数で比較してもわかる通り、日本は治安の良い安全な国だと言える。その結果、私たちの防犯意識、特に突然襲われるかもしれないという危機感はとても低い。発生件数は少なくとも、凶悪事件が頻発しいている昨今、模倣犯の可能性も考えて自衛のためにどうすればいいのかを知っておいてほしい。

たとえば長野駅前殺傷事件は背後から襲われた。背後からの攻撃には、リュックサックにポリカーボネート製の防護板を入れておけば、鈍器やナイフ等の攻撃に有効だ。ポリカーボネートは軽量で高強度、警察や軍隊なども採用している。A4サイズの防護板であれば安価に手にはいる。この防護板を携帯するために、薄いリュックサックをいつも使っている女性もいる。日常的に使うリュックサックに1枚いれておけば安心だ。

過去に秋葉原で歩行者天国にトラックが突っ込んで歩行者をはね、さらにナイフで襲撃して7人を殺害、10人に重軽傷を負わせた事件があった。横断歩道で信号待ちをするときに自分と車道の間に電柱を挟むと安全度があがる。車道から車が突入してきたときに間に電柱があれば直接、車と激突するリスクが減る。

同様に駅のホームで電車を待つときも、一番先頭には立たないことで押し出されるリスクを軽減できる。横断歩道でも駅のホームでも、最前部に立つと背後から狙われるリスクが上がる。先頭集団から離れて後ろで待っているほうが全体も見渡せて安全だ。

また、移動速度が速ければ速いほど犯罪に巻き込まれる可能性が減る。テキパキ速く歩く人へのアプローチは難しい。これは犯罪に限らず、路上のキャッチセールスなどを防ぐにも有効だ。いつも素早く歩くのでは疲れてしまうが、その場に合わせてリスクが高いところで覚えておくと効果的だ。

犯罪に巻き込まれない方法は意外に簡単で、すぐにでもできることが多い。日々の暮らしの中で少しだけ考えて習慣づけておくことが大切である。

『こんなにひどい自衛隊生活 』

著者略歴

小笠原理恵

https://hanada-plus.jp/articles/961

国防ジャーナリスト。関西外国語大学卒業後、広告代理店勤務を経て、フリーライターとして活動を開始。 2009年、政治や時事問題を解説するブログ「キラキラ星のブログ(【月夜のぴよこ】)」を開設し注目を集める。14年からは自衛隊の待遇問題を考える「自衛官守る会」を主宰。月刊『Hanada』、月刊『正論』、夕刊フジ、日刊SPA!などに寄稿。19年刊行の著書『自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う』(扶桑社新書)は国会でも話題に。2022年10月、公益財団法人アパ日本再興財団主催・第15回「真の近現代史観」懸賞論文で最優秀藤誠志賞を受賞!産経新聞コラム「新聞に喝!」を担当。

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