元村有希子氏:移民の強制送還や関税の話もそうだが、私が一番心配しているのは、議会を牛耳る、それから司法を牛耳る、そして官僚も自分のことをきかない官僚の首を切れるようにするという大統領令を復活させると言っている。つまり、民主主義をきちんと守るための統治を一つずつトランプ氏が突き崩していくのがよく見えてくるし、トランプ氏は1回やっていることで前できなかったことをきちんとやろうという、間違ったというか歪んだ使命感を持っているようで、一言でいうと不安しかない。
三権分立が確立した米国において、トランプ氏は法の範囲内でしか議会も司法も動かせません。また民意で選ばれた行政の長の遵法的な命令に対して反抗する官僚を解雇するのは民主主義をきちんと守る統治に他なりません。
トランプ氏が就任する前から、その政策実現への気概を「歪んだ使命感」とするのは極めて傲慢な態度です。
安田菜津紀氏:懸念は尽きない。IT企業が次々とトランプ氏におもねっていると指摘されているが、IT企業だけでなく他にも名だたる企業がDEI(多様性 diversity、公平性 equity、包括性 inclusion)、つまり多様性などを確保するためのポリシーを次々取り下げたり、縮小したりしている。こういうポリシーによって、マイノリティが優遇されているんだと、それは逆差別に当たるんだという主張をトランプ氏は好んで利用してきた。そもそも不平等があるからこそ、それを是正するための取り組みが必要だったわけだ。
マイノリティはずるいという誤った認識が、例えば米国がやっているから日本もやってもいいという安易な広がりに繋がらないためにも、こういうバックラッシュに耐えるだけの土台が社会にあるかということが日本社会にも問われてくる。
安田氏は明らかに勘違いしています。DEIをポリシーとしたバイデン政権は、DEIとは真逆に人種間の所得格差を一気に大きく拡げました。