畠山澄子氏:前回トランプ氏が大統領で政権になったときに、例えば、米朝首脳会談が実現したのを見て、やっぱりトランプ氏にしかできないことがあるのではないかという人が一部出てくるかもしれないが、トランプ氏が戦争嫌いみたいなことも含めて、それは平和主義者という形の、基本的人権とか、民主主義に裏打ちされたものではなく、あくまで力の不均衡を利用したディールの結果ということは見誤ってはいけない。
トランプ氏は、強い権力欲をもっている可能性はありますが、その圧倒的な財力から、金儲けには興味はないのは自明です。そして、権力を手にした高齢のトランプ氏の最大の関心事は、米国を強くすることによって承認欲求を満たすことにあると考えられます。
ここで、物事の動機の倫理性と結果の倫理性は必ずしも一致しません。不純な動機でも、社会にとって善となる結果を得るのはよくあることです。平和は、基本的人権や民主主義を前提とするので、平和を実現するプロセスにさえ誤りがなければ、動機は問題ではありません。
トランプ氏にとっては承認欲求を高める行動であっても、それが社会にとって望ましい結果を生みさえすれば何も問題はないのです。
ポジショントークはやめましょう
ところで、この日の放送では「出生数70万人割れ」というニュースをめぐり、安田氏が次のような意見を述べました。
安田菜津紀氏:少子化を語る文脈の中で、女性で子どもを生まない人たちに対して、一部の政治家から物凄く蔑むような発言が繰り返されてきた。つい先日も国政政党の関係者から、出産の年齢を語るような流れの中で「30歳を超えたら子宮摘出」という言葉も飛び出したりして、「SFだ」とか「喩え話」だという前置きをすれば言っていいことではないわけだ。
少子化対策は早く産めと圧をかけることではなく、どうして結婚したいと思っているのにできない事情があるのか、子どもを産み育てることにどんな不安があるのかということを丁寧に汲み取った上で、今後長く見通せるような支えの設計が本来必要になってくる。