解決の道は川勝知事退場しかない
反リニアに徹している川勝知事の意向に沿って、県専門部会は、JR東海へ言い掛かりをつけるのが役割となっていた。
川勝知事の「姿勢」が変わらない限り、『対話』によってリニア問題が解決できることなどありえないことはわかっていた。
だから、ほとんどの人が、川勝知事の退場しか解決の道はないと見ていた。
今回、丹羽社長は「静岡工区の遅れは、名古屋までの開業時期の遅れに直結する。2027年に実現できる状況にない」と、2027年リニア開業の断念を明らかにしたことで、すべてのメディアが一斉に詳しく報道した。
リニア開業を遅らせる川勝知事への厳しい批判が殺到した。
批判の嵐が続いたあと、川勝知事の辞意表明の直接のきっかけは、4月1日の新規採用職員向けの訓示で職業差別ととれる発言を行ったことである。
読売新聞のみが地方版で『知事訓示「県庁は知性高い」「野菜売るのとは違う」』という見出しで、大きく報じた。
これにテレビ各局が追随し、SNSなどで知事の「差別発言」が広がり、県庁には400件を超える抗議の電話やメールが殺到した。
筆者は、2日午後6時から、川勝知事の説明を求める囲み取材が行われることを聞いたが、いつも通りにわけのわからない釈明で終わると考えていた。
まさか、その席で辞意表明をするなど県幹部も知らず、その後の報道で筆者も驚きの声を挙げた。
これまで川勝知事は失言暴言などさまざまな不適切な発言を繰り返しても、何とか切り抜けてきたからだ。
2021年暮れ、静岡県議会で、「御殿場にはコシヒカリしかない」とする地域差別発言を理由に辞職勧告決議を採択された。
それに対して、川勝知事は「(わたしは)権力のある方に対しても、間違っていると思えば、失礼であることを承知しながらも、はっきりと物申す。南アルプスのトンネル工事は責任をもって県民にどうなっているのかを伝えるという、これまで通りの仕事をしながら責任を取っていく」と述べた。
あまりにもかっこう良すぎる発言にうなずく県民も多かった。
命運を握る選挙
実験線でのリニア(JR東海提供)