「多様性」を振りかざすだけでは問題解決にならない
田中優子氏:これに比べて自民党の憲法改正草案があるが、それには個人という言葉が消えたり、憲法24条1項を改悪したりしている。あらためてこれを見て、自民党の考え方が時代に追いついていないなと思う。
これは論点転換による印象操作です。自民党の憲法改正草案がどうであろうと、同性婚の可否とは無関係です。
田中優子氏:一方、これだけの判断が出ているのだから早く法律にして欲しい。そうやって日本の社会を一歩でも「多様性」にしたものにして欲しい。
自由主義国家の法律は、ワイドショーのコメンテーターの価値観で決定されるものではありません。田中氏のように、個人の価値観で社会の「快」「不快」を統制して立法を促す考え方を【リーガル・モラリズム legal moralism】と言います。
この問題には様々な論点があり、田中氏のように【多様性 diversity】という言葉を意味もなく振りかざすだけでは、問題解決になりません。『サンデーモーニング』の主張は、あまりにもナイーヴ過ぎます。そもそも社会の多様性は、異なる属性を持つ個人の存在によって生じるものであり、制度の有無によって消滅するものではありません。