LGBT差別禁止法という反リベラリズム
【リベラリズム】とは、他者に危害を与えてはならないとする【危害原理】に従って、多様な人々が希求する目的である【善】を【平等】に認めて【正義】を得る理念です。一方、【反リベラリズム】とは特定の人々が希求する善を正義よりも優先する理念です。
『サンモニ』は日本の自称リベラルと同様に「リベラル」とは対極にある反リベラリズムの番組であると言えます。その典型がこの発言です。
浜田敬子氏:今国会ではLGBTに関する理解増進法が議論されているが、元々は「差別禁止」だった。それが「理解増進」に後退し、さらにその中身が自民党などによって後退している。
「理解増進」というのは傲慢だ。多数派である人たちが少数派の性的少数者の人たちを「理解してあげよう」みたいな驕りを感じる。かつて岸田首相が「同性婚を認めることは社会が変わってしまう」と発言していた。
既に当事者の方が社会にいて差別されている現状を放置してはいけないと言うのが政治の役割で立法が必要と考えているにもかかわらず、性的少数者の方に限らず、外国人の方とか、女性に対してもそうだが、この国はいかに少数派に冷たい国なのか。理解増進ではなく差別禁止法を作って進めてもらいたい。
主権者がLGBTに関する理解のないまま、そしてLGBT差別の定義すら認識していないまま、浜田氏のような特定の個人の善を「差別禁止法」という形で法制化して他の人々に強制するのは【リーガル・モラリズム】と呼ばれる反リベラリズムです。
『月刊Hanada』7月号(https://amzn.to/43nhn2m) で書きましたが、海外ではLGBT差別法によって、生理的・肉体的弱者であるシスジェンダー女性(生物学的性が女性で性自認も女性)の権利がトランスジェンダー女性(生物学的性が男性で性自認が女性)に侵害されるケースが多発しています。このため、LGBTに対する社会の憎しみが逆に増長され、殺人を含むヘイトクライムが増加を続けているのです。これはトランスジェンダー女性の権利のみを優先したリーガル・モラリズムの大失敗例と言えます。
浜田氏の発言を見れば一目瞭然ですが、浜田氏は少数派を善、多数派を悪と明確に認定した上で法制化を強制しています。この傲慢な態度こそが、善の多様性を認めず、正義よりも特定の善を優先して法で屈服させるリーガル・モラリズムに他なりません。
ちなみに、LGBTの権利のみを主張して差別禁止法を強制する立憲民主党は反リベラリズム政党であり、LGBTの権利とともにシスジェンダー女性の権利も重視した理解増進を進める国民民主党と日本維新の会はリベラリズム政党であると言えます。
個人ブログ「マスメディア報道のメソドロジー」にて、論理学や心理学の定義に基づいた、メディアの報道・政治家の議論における論理的誤謬などの問題点を指摘。「ひるおび」「報道ステーション」「NEWS23」「サンデーモーニング」などの具体的な放送内容や議員の答弁、記者の発言などを例示しての論理的な分析が話題を呼んでいる。記事の一部を言論プラットフォーム「アゴラ」にも転載中。