日増しに高まる中朝露の軍事的脅威
米軍はこれまで主に対北朝鮮を念頭に韓国に駐留してきたが、これからは対中国の観点からも、重要な拠点となる。韓国へのTHAAD配備が「対北朝鮮用である」という建前を中国が疑うのもそれゆえだ。在韓米軍の動向は、日本の安全保障にも多大な影響を及ぼす。
また、「沖縄に韓国の活動家が入り込んで、反基地運動をやっている!」という話は保守側ではよく聞かれ、確かに親北朝鮮的なスタンスの活動家によるものであるならば警戒は必要だ。
他方、相手の手法を逆手にとって、日韓の保守側が「米軍」や日米韓の連携を念頭に連携する、という発想も現実路線を取る保守だからこそ、持ちうるのではないだろうか。
もちろん日韓間に信頼関係が構築できなければ話もできないわけだが、現実として中朝露の軍事的圧力は日々、増している。安倍政権が2015年に行った「日韓慰安婦合意」も、中朝という脅威を前に安全保障上の必要性から日韓関係をリセットするものだった。
日独比較に大きな意味が
同じ「敗戦国」であるドイツの場合はどうか。欧州の冷戦後は米軍基地そのものが縮小へ向かい、最大30万人が駐在していた米軍の75%は撤退。そうした状況を追いかける形で、反基地運動や基地問題も環境問題以外は収束傾向にあるという。
基地における環境問題とは、沖縄でも問題になっている有機フッ素化合物を含む消火剤(AFFF)高濃度有機フッ素化合物(PFASs)などが基地から周囲に漏れ出し、環境を汚染しているという問題で、ドイツはNATO軍地位協定・補足協定で環境保護について明確な基準を設けたという。
日本でも2015年に日米地位協定において環境補足協定が制定されたが、ドイツのものとは違って「互恵的ではない」という。なぜそうなってしまうのか、日独を比較する意味は大きい。
ドイツでは2020年までの調査によると、若年層のうち62%が「米軍基地は自国の安全保障に重要でない」と回答したという。だがロシアによるウクライナ侵攻が現実のものとなった今、「重要である」とする回答が一気に増えるのかもしれない。