韓国は危機感を強めている。既に1月11日に尹錫悦大統領は「(北朝鮮核問題が)より深刻化したならば、韓国に戦術核配置をするか、われわれが自前の核を保有することもできる」と発言した。その時点から明らかに事態は深刻化している。
韓国の有力紙朝鮮日報は2月20日の社説「ICBMの実戦配備を終えた北朝鮮、韓国に残された選択肢は何か」で、火星15が大気圏再突入に成功した可能性に言及し、「北朝鮮の核の効用性を一瞬でゼロとする方法は韓国独自の核保有しかない。他の選択肢が全て無意味となる瞬間が徐々に近づいている。」と書いた。
北朝鮮は朝鮮戦争休戦直後の1950年代から核開発を続けてきた。その目標は米本土に届く核ミサイルを持って米軍の介入を妨げ、第2次朝鮮戦争で勝つことだった。その金日成主席の野望を孫である金正恩総書記がほぼ実現したのだ。この目の前の脅威をなぜ我が国が直視しないのか。(2023.02.27 国家基本問題研究所「今週の直言」より転載)
モラロジー研究所教授、麗澤大学客員教授。1956年、東京生まれ。国際基督教大学卒業。筑波大学大学院地域研究科修了(国際学修士)。韓国・延世大学国際学科留学。82〜84年、外務省専門調査員として在韓日本大使館勤務。90〜02年、月刊『現代コリア』編集長。05年、正論大賞受賞。17年3月末まで、東京基督教大学教授。同4月から、麗澤大学客員教授・モラロジー研究所「歴史研究室」室長。著書に『でっちあげの徴用工問題 』など多数。