やり直せるのはいいことだけど……|電脳三面記事

やり直せるのはいいことだけど……|電脳三面記事

ビル・ゲイツの妹(という設定)のライターが、ネットで話題になった事を斬りまくる、人気連載「電脳三面記事」。もう忘れられた感がありますが、某メンタリストのやらかしたことを覚えていますか? 失敗してもやり直せるのはいいことですが、加害者だけがやり直せるのはいかがなものでしょうか。


謝罪だってコンテンツ

精神科医なのかな? 心理学者なのかな? と思わせる呼称を自らにつけていた、博士でも修士でもない学士の手品師の男性(34)が、自身のYouTubeのチャンネルで「ホームレスの命はどうでもいい」「 生活保護の人に食わせる金があるんだったら猫を救ってほしい」などと発言し、目論見通り炎上、総理大臣の孫と勘違いした人にも延焼するも当初、本人は見ていられないほどいきがっておりましたが、早々にやはりYouTubeで二度にわたって謝罪しました。

のみならず、見下していた人たちの支援活動をしている人たちを取材し、その報告もYouTubeで行い、収益は「慈善団体に寄付する」と、セルフ・ホワイトウォッシュを宣言し、更正コンテンツで稼ぐのかよはいはいという反応を得ています。

FA取得年、レフトスタンドから「お前が必要」と引き留められ、ファンを「裏切りたくない」と北海道日本ハムファイターズに残留し、3年契約を結んでいた元打点王(32)が、ベンチ裏で同僚に暴力をふるったとして球団から無期限での出場停止処分を受けた九日後、紳士たる球団へ無償トレードされました。

元の所属チームはこれといったコメントを出さず(後に人種差別発言を放置していた別件と合わせて一本でおわび)、本人も、入団会見で反省と謝罪を述べるに留まりました。

即、一軍登録。無期限のはずがきっちり10日での再登録ですから、やっぱりコロナ以降、時代の流れが速いって兄(ビル・ゲイツ)も言ってました。即、代打出場、翌日からスタメン、ホームラン。カメラの前でミスターともご面会。読売系医療関連基金に300万円を寄付。金銀パールをプレゼントしたくなる嬉しい白さです。

ダイバーシティ&インクルージョンな閉会式が行われた2021年の夏はこんな感じでした、とここに記録しておきたいと思います。

パッと見だと何がなんだかわからない。

立ち去る者だけが美しくては困ります

さて、日本は一度失敗したらはいそれまでよの国だ、再チャレンジがしにくい社会だなどと言われ始めたのはいつ頃だったでしょうか

受験も新卒採用もそこでしくじったらなかなかリカバリーできないことが問題だ問題だと言われても改善されずにきております。

失敗してもやり直せることそのものには大賛成です。転んだらすぐに立ち上がって歩き出す、素晴らしいことだと思います。

でも、それは自損事故の場合に限ります。被害者がいるのにさっさと立ち去ったら当て逃げです。いつもいつも立ち去る者だけが美しくては困ります。先にやり直せなくてはならないのは被害者です。わかっているのかね、メンタリスト。あまりに安易に加害者に手をさしのべるのは二次加害ですよ、球界の盟主さん。

やり直せない人がずっとやり直せない一方で、ヤンキー先生とか元極妻弁護士とかの物語は重宝されるのがこの世で、長らくなんだか不思議だなと思ってはいたのですが、要するに、国会議員とか弁護士とか、山に立った人の過去に谷があるのは許容できるし賞賛もできるんでしょうね。でも、谷からリアルタイムに山を目指す、これから社会的立場を手に入れようとする人の今はたいへん厳しい。立ち直れるかどうかわからないからでしょうか。

そういえば、経済的に恵まれない子供の支援活動をしている人が言っていました。成績のいい子、礼儀正しい子なら支援したいと条件をつけるリッチな大人が多いのだそうですよ。

当たるくじしかひきたくないコスパ主義、素人目に実用化の可能性が高そうな研究分野にだけ予算を投下する選択と集中のノリ、ここに極まれりです。そりゃあ、ホームレスや生活保護受給者を支援することは、無駄に見えることでしょう。

さて、他人を巻き込みながら自爆したメンタリストと日本の元四番ですが、被害者から「やり直していいよ」と言われるまで、または転んでも運良く手放さずに済んだものを自らしっかり手放し、何も持たない手の感触が身に沁みるまで、待った方が良かったのではないでしょうか。

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電脳三面記事 蛭”芸子

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