「アル中になれよ」とチューハイ2本|電脳三面記事

「アル中になれよ」とチューハイ2本|電脳三面記事

ビル・ゲイツの妹(という設定)のライターが、ネットで話題になった事を斬りまくる、人気連載「電脳三面記事」。ぐいぐい飲めて、すぐに酔える「ストロング系」が話題になった2020年。一部では「合法麻薬」や「飲む福祉」などと言われているが……。


缶チューハイ市場を席捲するストロング系

経済か衛生か、金か命か、みたいな話が続いて10カ月近く。今年もお世話になりました。

時機を逸した感はありますが、触れずに来てしまった今年を象徴する話題を取り上げて、しめくくりとしたく存じます。

コンビニでもスーパーでも、最近はビールの品揃えがいまひとつですね。代わりに幅をきかせているのがビールではないビールに似た飲み物、そして、いわゆるストロング系チューハイです。

たった二本で嫁さんになれよと言ってしまうカンチューハイは以前からありましたが、2009年にサントリーがアルコール度数8%の『-196℃ ストロングゼロ』を発売したのを契機に、飲みやすく、缶入りゆえに開けたら飲みきってしまいたくなる、アルコール度数の高い、そしてビールよりもずっと安い、そんな飲み物が各店の棚を席巻するようになりました。

7%以上をストロング系と呼ぶそうで、また、カシュッと開けたら割ったり温めたりせずにそのまま飲めるタイプをレディトゥドリンク、RTDと呼ぶそうですよ。

ストロング系RTD躍進のきっかけは、飲酒運転の取り締まりと罰則強化による家飲み増加とされていますが、さぞかし売れたのでしょうね。

いつの間にかストゼロのアルコール度数は9%になり、アルコール量としては500mlでテキーラ3.5ショットに並び、キリンは既存ブランドの『氷結』に“ストロング”を加え、2018年には『キリン・ザ・ストロング』を商品化。

アサヒも『もぎたてストロング』で、サッポロもストロングこそ名乗らねど『99・99』で同じ土俵に立っています。古いデータで恐縮ですが、酒税法が改正された16年には、このストロング系が缶チューハイ市場の4割を占めていました。

値段は安いが見た目も中身も「ストロング」。

我慢ができりゃ世話はない

しまいには18年、サンガリアというメーカーが12%のモノをつくり、ローソンやポプラで限定発売するまでになりました。このときの、ローソンの商品開発担当者のインタビューはまだネットに漂っています。

ストロング系を求めるのは「率直に言うと、すぐに酔いたい男性です」、2本買う人が多いと語り、アルコール依存症の人が増えるのではと質問されて、「販売元としてちゃんとお答えするならば、個人でちゃんと消費量を抑えていただくしかありません」 「あくまで選択肢のひとつとして提案しているつもりですが……推奨する量は500ml缶1本。もちろん、毎日何本も飲むことはオススメできません」と。

それができれば依存症ではありませんね

9%を2本でテキーラ7ショットですから、12%だと9ショットちょっと。飲まずにいられない病の人は嬉しいでしょうし、並みの人なら飲みきれないはずが、口当たりの良さでスルスル入って、そんな状態で求婚されたら、俵万智じゃなくたって一言言いたくなりますわ。

ああ、そういえばストロングゼロの社長って、このコンビニの社長だったことがあったっけな

その後、この12%のストロングは“好評のうちに”終売。で、コロナ禍で家飲みが加速し、医師がはっきりとストロング系の危険性を指摘するようになって、第五のビールメーカー、オリオンが、アルコール依存症を増やすことへの危惧からストロング系の販売休止を決めました。

目先の売上げより国民の健康、金より命というわけです。ああ、コロナとSDGsの時代にふさわしい企業判断ですね。社長は元P&G、わかってらっしゃる

お酒は文化だそうですね。それに反対する立場ではありません。でも、限度がありやしませんか。

這ってでもの出社もハンコも文化だったけれど、命の危険性の前には、復活の可能性を十分に残しつつも山が動きそうな予感はするではありませんか。

少なくない人が家飲みせざるをえない環境にあるいまを乗り越えて、ストロング系を生んでしまった国をサステナブルにするためにも、根付いた文化を守るためにも、勇気ある撤退が必要ではないでしょうか

関連する投稿


憲法改正がなぜ必要なのか|和田政宗

憲法改正がなぜ必要なのか|和田政宗

2022年4月、「危機に乗じて憲法9条を破壊し、日本を『軍事対軍事』の危険な道に引き込む動きを、日本共産党の躍進で断固として止めよう」と訴えた日本共産党の志位和夫委員長。共産党の言う「9条生かした外交で平和をつくりだす」は本当に可能なのか。日本の隣国である中国、ロシア、北朝鮮は果たして「平和を愛する諸国民」と言えるのか。


橋下徹よ、「不戦」はプーチンに言え|有本香

橋下徹よ、「不戦」はプーチンに言え|有本香

「中国をこっちに引き寄せるには、お願いかお土産が先やろ。制裁をちらつかせるのは最後の手段。こんな建前政治は、解決能力なし。ほんまアカン」と橋下徹氏。「ほんまアカン」のはいったい誰なのか? 月刊『Hanada』の大人気連載「香論乙駁」(2022年5月号)を特別公開!


“オール沖縄”の敗北と“佐渡金山”深まる対立|和田政宗

“オール沖縄”の敗北と“佐渡金山”深まる対立|和田政宗

《政治家には言えないから僕が言うが、日本の有権者はかなり愚かだ》。昨年の衆院選の結果を受けての前川喜平氏のツイートだが、“オール沖縄”が敗北した名護市長選においても同様の考えなのだろうか。1月27日、前川氏は《佐渡金山についても明治産業遺産についても、まず負の歴史の存在を認めるのが「冷静な判断」だ》と投稿。事実でない「歴史の書き換え」や反日的イデオロギーに加担する勢力に屈することなく、日本は歴史的事実に基づき堂々と申請を行うべきだ。


憲法改正、「やるやる詐欺」は許されない!|和田政宗

憲法改正、「やるやる詐欺」は許されない!|和田政宗

21年11月、吉村洋文大阪府知事から「党是で改憲、改憲と言っているが『やるやる詐欺』だろう」と批判された自民党。「憲法改正推進本部」から「憲法改正実現本部」へと名称は変わったが、岸田政権は本気で憲法改正を実現しようと思っているのか。本音で語れる政治家、和田政宗議員が憲法改正への決意を語る!


参院選も「立憲共産党」なら、自民は危ない!|和田政宗

参院選も「立憲共産党」なら、自民は危ない!|和田政宗

「日本の政治を変える道は野党共闘しかない」と豪語する日本共産党の志位和夫委員長。この発言を「往生際が悪い」という一言で片づけていいのだろうか。昨年の衆院選では「立憲共産党」と揶揄され、立憲民主党、共産党ともに議席を減らしたが、野党共闘は本当に失敗だったのか。(写真提供/時事)


最新の投稿


違う意見に耳を傾けたら相手をもっと嫌いになった! クリス・ベイル『ソーシャルメディア・プリズム』(みすず書房)

違う意見に耳を傾けたら相手をもっと嫌いになった! クリス・ベイル『ソーシャルメディア・プリズム』(みすず書房)

その昔、読書にかまけて羊を逃がしたものがいるという。転じて「読書亡羊」は「重要なことを忘れて、他のことに夢中になること」を指す四字熟語になった。だが時に仕事を放り出してでも、読むべき本がある。元月刊『Hanada』編集部員のライター・梶原がお送りする週末書評!


徹底検証!中国で「宮廷クーデター」発生か|澁谷司

徹底検証!中国で「宮廷クーデター」発生か|澁谷司

世界では、習近平が退陣するのではないかというニュースが飛び交っている。一部のSNSでは、習近平主席がすでに半ば退位し、李克強首相が代行しているとの書き込みで溢れている。果たして、この「宮廷クーデター」(「反習派」による習主席の退位)の“噂”は本当なのか? 徹底検証する。


なべやかん遺産|「淡路島のシン・ゴジラ」

なべやかん遺産|「淡路島のシン・ゴジラ」

芸人にして、日本屈指のコレクターでもある、なべやかん。 そのマニアックなコレクションを紹介する月刊『Hanada』の好評連載「なべやかん遺産」がますますパワーアップして「Hanadaプラス」にお引越し! 今回は「淡路島のシン・ゴジラ」!


参院選に暗雲!逃げずに正面から原発再稼働、憲法改正を訴えよ!|和田政宗

参院選に暗雲!逃げずに正面から原発再稼働、憲法改正を訴えよ!|和田政宗

酷暑のなか、もし電力が止まり冷房が止まってしまえば、命の危機にもつながる。国民は根本的な対応を求めており、もしそれを打ち出すことができなければ、大変な結果が待っているだろう。この1週間が決断すべき期間である。正面から訴えるべき政策については堂々と国民に訴えるべきだ。


【橋下徹研究⑪】「副市長案件」弁明の崩壊と橋下市長関与の証明|山口敬之【WEB連載第11回】

【橋下徹研究⑪】「副市長案件」弁明の崩壊と橋下市長関与の証明|山口敬之【WEB連載第11回】

6月20日以降、ツイートがない橋下徹氏。ほとぼりが冷めるまで待つ方針かもしれないが、いつまで「副市長案件」で逃げ切るつもりなのだろうか。「副市長案件」「遊休地だった」と抗弁する橋下氏の弁明には何の説得力もないどころか、事実を歪曲し隠蔽する悪意がはっきりと浮き彫りになっている――。【※サムネイルは『実行力 結果を出す「仕組み」の作りかた』 (PHP新書)】