「懸念」の段階は過ぎた
河野太郎防衛相は9日、米戦略国際問題研究所のオンライン討論において「中国は日本にとって安全保障上の脅威となった」と語ったが、政府は今年の防衛白書で、中国について「懸念」との表現にとどめている。コロナ禍で示された中国共産党独裁体制の情報隠蔽体質、香港弾圧で示された強権体質を併せ見れば、「中国は我が国安全保障上の脅威」と位置付ける国家安全保障戦略の策定が急務である。(2020.09.14 国家基本問題研究所「今週の直言」より転載)
著者略歴
1957年生まれ。79年に防衛大学校卒業後、陸上自衛隊に入隊。戦車部隊勤務を経て、93年、米陸軍指揮幕僚大学へ留学。2010年、陸将、第7師団長。11年、統合幕僚副長。12年、北部方面総監。13年、第34代陸上幕僚長と歴任し、16年に退官。