【戦後75年】昭和史とは何だったのか|早坂隆

【戦後75年】昭和史とは何だったのか|早坂隆

歴史を知ることは、国家や社会の今後の行く末を考える上でも、また個人がより良く生きていくためにも、極めて大切な作業である。歴史の中には多くのかけがえのない教訓が含まれている――。早坂隆さんが取材生活の集大成として上梓された『昭和史の声』より「まえがき」をご紹介します。


大東亜戦争を中心とする昭和史の取材を二十年ほど続けてきた。国内外を問わず、多くの方々のもとを訪ね、様々な証言を集めてきた。 そのような取材を通じて、南京戦や特攻作戦、BC級裁判といった重要な昭和史の出来事に関する貴重で多様な体験談をうかがうことができた。

本書はそんなこれまでの取材の集大成である。すなわち「ノンフィクション」であって「評論」ではない。私は昭和史が遠くなるにつれて「机上の空論」が増加することを危惧している在野の一人だが、この本は世界各地の現場で収集してきた証言をもとにして編んだ一つのドキュメントである。

「最近は取材をせずにネット上で情報を集めて記事を書くライターが増えている」とは業界内でよく耳にする話だが、憚りながらこの本は史実を追い求めて各地を駆けずり回った一編の記録である。そんな取材の中で、これまで表に出ていなかった新たな史実や秘話と出会うこともできた。「生の声」は時に告白であり、懇願であり、叫びであった。渓流の小さな瀬音のように感じられる時もあれば、荒波が岩に砕ける轟きのように聞こえる時もあった。

歴史を知ることは、国家や社会の今後の行く末を考える上でも、また個人がより良く生きていくためにも、極めて大切な作業である。歴史の中には多くのかけがえのない教訓が含まれている。

それらを適切に吸収していくためには、「空論」ではなく「史実」に立ち返る姿勢が重要である。その上で、歴史認識を多層的に深めていく必要がある。

昭和史とは何だったのか。

昭和史の切なる声に耳を澄ませてほしい。

早坂隆

https://hanada-plus.jp/articles/282

1973年、愛知県生まれ。ノンフィクション作家。大磯町立図書館協議会委員長。主な著作に『ペリリュー玉砕』『指揮官の決断 満州とアッツの将軍 樋口季一郎』『永田鉄山 昭和陸軍「運命の男」』(いずれも文春新書)など。『昭和十七年の夏 幻の甲子園』(文藝春秋)でミズノスポーツライター賞最優秀賞受賞。【公式ツイッター】https://twitter.com/dig_nonfiction

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早坂隆

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