

私はこれまでに昭和史に関する取材を20年ほど続けてきました。多くの戦争体験者の方々から、様々な「生の証言」を集めてきました。
南京戦、ペリリュー戦、特攻作戦、戦犯裁判、そして抑留。「叫び」のような彼らの声の数々は、現代を生きる私たちに投げかけられた大いなる宿題のようにも感じます。ペリリュー戦に参加した元兵士の方は、当時の心境について涙ながらにこう語ってくれました。
「日本を護るためですよ。内地で暮らす家族や女性、子どもを護るため。それ以外にあるはずがないじゃないですか。私たちは『太平洋の防波堤』となるつもりでした。そのために自分の命を投げ出そうと。そんな思いで懸命に戦ったのです」
令和2年は戦後75年という節目の年です。近年ではネット上による「机上の空論」も増えているように思います。今こそ改めて戦争体験者の声に立ち返り、真摯に史実と向き合う必要があるのではないでしょうか。
取材でお世話になった方々の多くが、今では鬼籍に入っています。彼らの「遺言」に耳を澄ませてほしいと思います。

